01. 引きこもりライフ
神様マジありがとう───
小柳若哉と言う人間はとてつもなく夢をみている。1年間ずっと、どうやったら魔王になれるのかを夢見てるのだった。
「俺は魔王になりたいんだぁぁぁ」
暗い部屋から響く声は誰の耳にも入らない。入るはずがない。何故なら平日真っ昼間家には俺意外いないのだから。
第1志望の高校に落ち、親の期待を裏切り、双子の妹にさえ距離を置かれる、友人は皆新しい地へ羽ばたいて行きリア充と化してしまった。
俺のお豆腐メンタルは立ち直れずに、滑り止めの学校に行くのが恥ずかしくて仕方がないのだ。
そう、ここ1年間俺は引きこもりライフをenjoyしきっていた。
ん?そろそろ俺がなんで魔王になりたいか聞きたいって?いいだろ、教えてやろう。内緒だぞ?
小さい頃から悪役が好きで、いつも悪役の方を応援していた。
ばい○んまんとか凄く好きだったな、うん。
ヒーローより絶対に強いのに毎回律儀に負けてあげるあの心優しき悪者。
みんながヒーローを応援していてもめげず何度だって立ち向かうあの勇敢さ。
綺麗事を言わず現実主義なところも加点ポイントだ。
兎に角、惚れる要素しかないのだ。
この引きこもりライフでいろんな異世界ものを読んできたが、ダンジョンものとか魔王を倒すことしか脳のない勇者がダンジョンを攻略するとか、レベル上げに魔物を殺すとか、ワンパターンばかりだった。そこで思ったわけ、勇者になれる世界があるなら魔王にだってなれていいじゃないかと。
「我ながら名案だ!」
虚しい…。
まぁいいさ中学時代好きだった教師に言われた「思いが人を動かす。思いが強ければなんにだってなれるわ。」
って言葉を胸に今日も精一杯生きてくさ。
コンコン (ドアのノック音)
「若哉さん、貴方宛ての手紙があったわ。お夕食と一緒にここ置いておくわね。」
母さん…あれ?もうそんな時間か。
いつの間にか寝ていたらしい
1日ってほんと早いな。誰だ?1日は24時間って決めたやつ。てか、この時代に手紙って誰からだよ。
そんなことを思いながら俺は夕飯と白い封筒に手を伸ばした──