第六話 冒険者
カガリは冒険する。
幾年の月日が流れ、カガリは十二歳になった。十二歳から冒険者としての資格を受けることができるのでその日の午前中に冒険者の集会場へ行き冒険者登録をした。
それを終えると家に帰って父親から貰ってずっとしまいこんでいた皮の防具と父に貰ったダガーを持って近くのダンジョンへ向かった。
ダンジョンの入口へ着いたが、扉らしきものが見当たらず周りをウロウロとしてると他の壁に触れると中に入れる事を知りやってみると引き込まれるようにダンジョンに入った。
ダンジョン内は数人冒険者らしき人がいた。
それを見て自分も冒険者になったという事を自覚し気持ちを昂らせた。勢いよく安全地帯から出ると人が少ない時間帯だったのかモンスターの数が思ったよりも多かった。
初めての戦闘が二対一だと大変だと考えたカガリは隠れながら一体でいるゴブリンを見つけると、物陰から走り出して斬りつけようとするが、足音で気づかれカガリの攻撃は空を切る。前に体重をかけすぎてバランスを崩すと後ろからゴブリンの攻撃を受けてしまった。武器を手放し地面に倒れ込んでしまった所をゴブリンが追撃を仕掛けてくる。何とか身体を翻し回避すると武器を持ち直し、また交戦する。初めは防戦一方となってしまったが、少しずつゴブリンの動きにも慣れはじめてまともな回避が出来るようになると回避して攻撃のヒット&アウェイで何とか一体を自分の力で倒す事が出来た。
ここでカガリはポーチを持って来ていない事に気づくとゴブリン一体のドロップアイテムを手に握りしめて帰宅した。
カガリが家へ帰るとその姿を見たツグハが怪訝な顔をして、
「初日からボロボロね、お風呂入れるから綺麗にしてきなさい」
風呂で服を見ると数カ所破れ、シャワーによって今日出来た傷が痛んでようやく自分の状態を知った。
一体と戦うだけでこんな事になってたんじゃダメなんだと分かり、次の日からはダンジョンへ入らず戦闘の知識と技術を身につける事に専念した。
次の日の朝からまず基本の体力を作る為に走り込みをして身体を作り替えるように約三ヶ月を費やし戦いの基礎を身につけた上でダンジョンへ潜ることになった。
前回同様、一体のゴブリンを見つけると、カガリはスニークをして確実に初手を与えられるように近づく。
モンスターの急所であるコアの場所を狙って攻撃を仕掛けていくが、思っていた以上に刃が通らず仕留めきれず反撃を食らってしまうが、体制を立て直ししっかりと距離を取り相手の隙を狙って攻撃をしていくと、すぐに倒し終えたダメージもほとんど受けていない状態で勝利を収めることが出来た。
「ふぅ〜、まぁこんなもんかな。前と比べると成長はしてるな」
戦い方を決め、焦らなければ問題がないところまでカガリは成長したと実感した瞬間だった。その後も同じ戦法で倒していき、今日の探索は終了となった。