第一話 始まる冒険のストーリー
「よし、いくか」
まだ夜も開けていない闇の中で慣れた手つきでベッドの横に置いてあるランプに火をつけカガリは防具を身につけ、昨日新調したばかりのダガーを腰に巻き身支度を済ませる。
1階に下りるといつもと同じパンが二つお皿の上に用意され、洗い場には洗われていないお皿が三枚重ねて置いてあるのを横目に
「ナナコさんありがとうございます!いただきます」
と言いながら、パンをペロリとたいらげると四枚の皿を洗い、早々に街へと飛び出した。
新月の今日は辺りにポツポツと冒険者達の持つランプの灯りが見えるだけの真っ暗な中、ダガーの感触を手に感じながら早足でダンジョンへと向かった。ダンジョンの入口に立ち、壁に触れて目を閉じると飲み込まれるようにダンジョンの中へと入っていった。
目を開けるといつもと同じ一階層の安全地帯に転送される。
「この転送だけは一年経っても理解ができないな」
なんて思いながらも辺りを見渡すとパーティーのメンバーを待つグループやダンジョンで汚れた防具の汚れを落として武器の手入れをする人達が多数見られるが、なんだかいつもよりも人数が多い気がした。
「よっカガリ!今日もこんな時間から精が出るなぁ」
と、冗談交じりに声をかけてきたのは3つ歳上の空野ソラ率いるパーティーのみんなだった。
「おっはよ〜♪カッガリ〜ん♪」
「おはようございます、カガリくん」
ソラの後ろから出てきた二人は、元気っ子で片手剣使いの赤沢カレンといつも冷静で優しい魔法使いの藍野ツララだ。リーダーであるソラは両手剣使いの筋肉バカである。
三人は歳上だが、同じ年に同じギルドに入った唯一のギルドメンバーだ。
「そういう三人はは今日もまた夜中から潜ってたのか、よくやるよ 」
と皮肉をいいながら毎度恒例の情報交換をする。ダンジョンで低階層でも中階層のモンスターが紛れていたり異常が発生することが増えてきたこともあり、最近は細かい事も言い合うようにしているのだ。
「今日は大丈夫だったか?」
「俺たちは見かけなかったんだが、今朝三階層で何かが出たらしい。それを聞いて帰るか迷ってる奴らがここで留まってるんだ。冒険者がモンスターに怯えてどうすんだってんだ!」
と、一人で奮起していると、
「ソラ、誰だって怖いものはあるわ。あなただって蜂が怖いのでしょう?それと同じ、命を大事にするのも冒険者にとっても大切なことよ。」
と、ツララに冷静に指摘されるとソラは唸りながらも納得した。
「まぁ今日は一階層は大丈夫そうだ。じゃあ俺たちはそろそろ帰って寝るからな!じゃあ頑張れよ」
「頑張ってね〜♪おやすみ〜♪」
「ではカガリくん、失礼します」
と言いながら後ろ手に手を振りながら三人は脱出転移門の方へ歩いて行った。
「なるほどな、どおりで人が多いわけだ。気をつけないと」
危険だと分かっていてもダンジョンに潜ることしか考えていなかった。
安全地帯から出るとすぐそこには一階層の主モンスターであるゴブリンが背を向けて歩いていた。すかさずスニークで足音を消し背後からゴブリンの後頭部へ一発入れる。
「グアぉぉぉぉおお!!!」
ゴブリンは不意を突かれて怯んだが、すかさずで反撃してくるが、爪をダガーでいなし空いた脇腹に突き刺すと血を流して倒れ込み、やがて死体は霧散した。
煙の中からはドロップアイテムとしてゴブリンの牙だけが残っていた。それをポーチへしまうと次のモンスターを探して駆け出す。
以前連載しておりましたダンジョンなストーリーから名前を変えて移転しました。話の内容は同じなので、前作を読んでいただいた方は移転後の部分から読んでください!
新しく読んでくださる方ははじめまして、黒鷺と申します。
のんびり書いて行きますので、至らない部分も多くあると思いますので、アドバイスや感想など頂けると嬉しいです。