予選 7
ピエロの眉が小さく跳ねたのを確認してから、流斗は2人に向き直り手招き。傍に寄るようにジェスチャーで伝える。
「(……で、流斗。どうする? 順番とかは?)」
「(まずは難易度の確認だ。難易度1でも2人が答えられそうなら1で2人とも答えてもらう。俺は3で問題ないからな)」
さすがは流斗。難易度3を答えられる前提で話が進められている。
「(順番は翔矢、刃、俺の順で行く。2人は難易度1を正解してくれ)」
「「了解!」」
『……決まったのか?』
3人して門に向き直ると、ピエロがそう問うてきた。
「あぁ。順番はこの順番でいく」
「まずトップバッターはワイや! 難易度は1!」
『頭の悪い順で小手調べという訳か……いいだろう』
そうしてピエロは1人1人を見て順番を確認する。
1、翔矢(普通の制服)
2、刃(女子セーラー服&胸パッド)
3、流斗(普通の制服)
『…………本当にその順番でいいのか?』
「もしかして俺が1番馬鹿に思われてる?」
「仕方ないやろ」
不本意極まりないが、仕方ないと諦めた。後で元の制服に着替えるとしよう。
ピエロの中でカチャカチャと何かが回る音が響き、それが止まる。おそらく問題を選出しているのだろう。
「では難易度1、頭の体操だ。前を歩いていた会社員が100万円の束を落としたというのに、見向きもせずに歩いていってしまった。100万だぞ? 100万。一体何故その男は拾わなかったのか、答えてみよ」
「な、なんだその問題」
刃は頭を捻る。100万を拾わない理由、そんなものあるのだろうか?
何か拾わせる理由があったのか? もしくは落とすことに意味があったとか? そもそも100万は本物なのか?
『制限時間は10秒。それでは──』
「単に落としたことに気付いてないだけとちゃう?」
『…………』
なんてことない翔矢の言葉にピエロが固まる。確かに言われてみれば、落としたことに気付いているとは一言も言っていない。
『……正解だ』
「え? こんなんでえぇのか?」
翔矢も拍子抜けしている。刃だったら答えられたか怪しかったが、翔矢の頭の柔軟さが功を奏したと言えた。
ピエロの額に『1』の数字が浮かび上がる。あれが現在のポイントか。
「なんや、釈然とせんなぁ」
「ま、まぁいいじゃねぇか! ラッキーラッキー!」
危ない。解答者が翔矢だから良かったが、自分だったら難しく考えて絶対テンパっていた。
もしかしたら、難易度1というのはこんな感じの問題が多いのかもしれない。
『では次の解答者、前へ』
「……お、おう」
まずい。少し心配になってきた。あんな問題が来た時に、自分は答えられるのだろうか。
刃の心配を他所にピエロの中でルーレットが回るような音が止まる。
『問題、なぞなぞだ。拭けば拭くほど汚れるもの、なーんだ?』
「……え?」
なぞなぞ。昔、流斗達と遊びで色んななぞなぞをやった記憶があったし、これと全く同じ問題もやった事がある。
「……ぞ、雑巾?」
『正解だ』
ピエロの額に『2』の数字が浮かび上がった。
「……なぁ、ワイらがこんな事言うのもあるやと思うんやが、問題簡単すぎひん?」
『そんなことは無い。全てのジャンルから常識範囲で出される問題が難易度1だからな。例えばだが、歴史や数学の問題を出すことも出来た。なんなら、今の問題をやり直してお前達好みの難易度1の中でも正答率が低かった問題にしてやってもいいんだが?』
その一言に今度は流斗の眉が小さく跳ねる。
「「いや、大丈夫です!」」
『分かればいいのだ。では次の解答者、前へ──』
「……言わなくても、もう出てるだろう」
既に前へ出ていた流斗のその一言にピエロの顔が少し赤くなる。
『……お、おい。私は君達の試験官の様なものだ。お前たちの合否も私の問題次第。わかったらもう少し敬意というものをだな──』
「こんな雇われ門番みたいなものに払う敬意などない。さっさと難易度3を出せ」




