開会式 10
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突如として湧いた飛来物に神童高校を含めたほぼ全員がI’temに手を置いて臨戦態勢。
飛来物が落ちた前方の台は砂塵が舞って見えなくなっていて、会場中がざわめき立っていた。
何せ、あそこには今さっきまでこのI-Gの最高責任者が話をしていた真っ最中だ。
「な、何事ですの!?」
「わかんねぇ……でも、油断はするなよ」
もしかしたら、最高責任者を狙ったテロなんかかもしれない。それなら、自分たちの身だって危ないのだ。
臨戦態勢は崩さずに断はその砂塵の中をよく目を凝らして見ると、
「……ん?」
誰かがいる。その台の上に右手を突き上げた状態で。
「だっ……誰かいるぞ」
「……ここはからじゃ影しかわかりませんが……もしかして、何かの余興とか?」
断と麗香はそんなやり取りをしながら砂埃が落ち着くのを待った。
やがて、その中から現れたのは……。
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「な、一体何!?」
「なんや!? 爆発!?」
「いや、出火はしてないようだ。全員、I’temの準備!」
その事態に桜ヶ峰高校の生徒の面々も緊迫の面持ちで、砂埃で見えなくなった台に視線を注いでいたが、
『……………………え?』
砂塵が晴れて見えたその光景に、全員が絶句。目を点にした。
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刃は理解した。自分が今いる場所。ここは、間違いない。
「(ここって……台の上じゃネェカァァァァァアァァッ!!?)」
気付いたときにはもう遅い。自身を隠してくれていた砂煙はもう風とお散歩へ。
あとに残された刃は周囲の視線に晒された、ただの石像と化す。
『ねぇ……あの人、誰?』
『わかんねぇ。MVPの選手候補とか開会宣言とかじゃねぇの?』
『でも子供抱えてるけど?』
『誰、あの人』
『派手な登場の仕方だなぁ、何するんだろ』
そんな無理な期待と疑問の声が視線と共に刃に降り注ぐ。
桜ヶ峰の方を見ると、全員が視線を逸らした。目も合わせてくれない。
いや、翔矢だけは腹を抱えて大笑い。それ以外は頭を抱えているようだ。
考えろ、考えるんだ火野刃。この窮地を脱する方法を……!
「だ……誰あれ?」
「さ、さぁ? 僕達と同い年ぐらいに見えるけど……」
台の上に現れた男に疑問符を浮かべる律子と丸男に対し、他の生徒はその男と目を合わせないようにしている。
「ケハハハハハ!!! や、やっぱアイツは前代未聞だったぜ、ケハハハハハ!!!」
ただ一人、無限だけは大爆笑。地面を叩いて涙を流しながら笑い続けている。
どーする、どうする、どうすんのよ、俺!? 今、俺の前に選択肢が書かれたカードがあれば、何を選ぶべきなんだ!?
刃は必死に脳みそをフル回転させて考えるが、このピンチを解決できる策を思いつかない。
『……え、え~っとぉ』
にも関わらず声を出してしまった、前にマイクがあることも気付かずに。
『……お、なんか始まったぞ』
その刃の独り言で何かが始まったと皆、勘違い。
まずい、これはもう本格的に逃げ出せる雰囲気じゃない。何か、何か言わなくては。
『えっとぉ……』
もうここまで来たら勢いだ。それで誤魔化すしかない。刃は意を決し、ヤケクソ気味に叫んだ。
『アイグランプリ、始まるぞおらあああああああああぁぁぁ!!!』
『アーーーーイ!!!』
『…………』
盛り上がるかと思われた場は完全に硬直。いきなりのテンションについていけてない。
勢いで誤魔化そうと思ったが、上手くいかなかったらしい。
「確保ーー!」
そして、刃と藍とおっさんは無事に警備員に取り押さえられたのだった。




