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I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第3章 I-G
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開会式 10

          ✩




 突如として湧いた飛来物に神童高校を含めたほぼ全員がI’temに手を置いて臨戦態勢。

 飛来物が落ちた前方の台は砂塵が舞って見えなくなっていて、会場中がざわめき立っていた。

 何せ、あそこには今さっきまでこのI-Gの最高責任者が話をしていた真っ最中だ。


「な、何事ですの!?」


「わかんねぇ……でも、油断はするなよ」


 もしかしたら、最高責任者を狙ったテロなんかかもしれない。それなら、自分たちの身だって危ないのだ。

 臨戦態勢は崩さずに断はその砂塵の中をよく目を凝らして見ると、


「……ん?」


 誰かがいる。その台の上に右手を突き上げた状態で。

「だっ……誰かいるぞ」


「……ここはからじゃ影しかわかりませんが……もしかして、何かの余興とか?」


 断と麗香はそんなやり取りをしながら砂埃が落ち着くのを待った。

 やがて、その中から現れたのは……。




          ✩




「な、一体何!?」


「なんや!? 爆発!?」


「いや、出火はしてないようだ。全員、I’temの準備!」


 その事態に桜ヶ峰高校の生徒の面々も緊迫の面持ちで、砂埃で見えなくなった台に視線を注いでいたが、




『……………………え?』




 砂塵が晴れて見えたその光景に、全員が絶句。目を点にした。




          ✩



 刃は理解した。自分が今いる場所。ここは、間違いない。




「(ここって……台の上じゃネェカァァァァァアァァッ!!?)」




 気付いたときにはもう遅い。自身を隠してくれていた砂煙はもう風とお散歩へ。

 あとに残された刃は周囲の視線に晒された、ただの石像と化す。




『ねぇ……あの人、誰?』


『わかんねぇ。MVPの選手候補とか開会宣言とかじゃねぇの?』


『でも子供抱えてるけど?』


『誰、あの人』


『派手な登場の仕方だなぁ、何するんだろ』




 そんな無理な期待と疑問の声が視線と共に刃に降り注ぐ。

 桜ヶ峰の方を見ると、全員が視線を逸らした。目も合わせてくれない。

 いや、翔矢だけは腹を抱えて大笑い。それ以外は頭を抱えているようだ。


 考えろ、考えるんだ火野刃。この窮地を脱する方法を……!




「だ……誰あれ?」


「さ、さぁ? 僕達と同い年ぐらいに見えるけど……」


 台の上に現れた男に疑問符を浮かべる律子と丸男に対し、他の生徒はその男と目を合わせないようにしている。


「ケハハハハハ!!! や、やっぱアイツは前代未聞だったぜ、ケハハハハハ!!!」


 ただ一人、無限だけは大爆笑。地面を叩いて涙を流しながら笑い続けている。




 どーする、どうする、どうすんのよ、俺!? 今、俺の前に選択肢が書かれたカードがあれば、何を選ぶべきなんだ!?

 刃は必死に脳みそをフル回転させて考えるが、このピンチを解決できる策を思いつかない。


『……え、え~っとぉ』


 にも関わらず声を出してしまった、前にマイクがあることも気付かずに。


『……お、なんか始まったぞ』


 その刃の独り言で何かが始まったと皆、勘違い。

 まずい、これはもう本格的に逃げ出せる雰囲気じゃない。何か、何か言わなくては。


『えっとぉ……』


 もうここまで来たら勢いだ。それで誤魔化すしかない。刃は意を決し、ヤケクソ気味に叫んだ。




『アイグランプリ、始まるぞおらあああああああああぁぁぁ!!!』


『アーーーーイ!!!』


『…………』




 盛り上がるかと思われた場は完全に硬直。いきなりのテンションについていけてない。

 勢いで誤魔化そうと思ったが、上手くいかなかったらしい。


「確保ーー!」


 そして、刃と藍とおっさんは無事に警備員に取り押さえられたのだった。

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