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I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第3章 I-G
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開会式 7


「あっ、君。さっき上の人に連絡したんだけどね、とりあえずバッチさえ見つかれば後からでも参加はOK──」


「ウォォォォオォォオ!!!」


 気を利かせて上に掛け合ってくれた警備員さんの声も、危機迫る刃の耳にはその言葉は入っていない。

 今は謎に追跡してくる何かから逃げるために、目指した入場門入口ではなく先に続く通路に走り抜ける。


「えっ、君!? ちょっ──」


退けやぁぁぁ!!!」


 警備員の男を独楽コマの様にクルクルと回しながらおじさんのモップのスピードアップ。


「なんでこうなるんだぁぁぁぁあぁぁ!!!」


「アーイ!」


 刃の叫びを聞いたのは悲しいかな、終始楽しそうな笑顔を浮かべる藍だけだった。




          ✩




「すぅ~んごぉ~い! こんな広いとこがこれだけ埋まるなんて半端じゃないわねぇ!」


 その女は会場の一角で体をウネウネうねらせて歓喜。辺りの歓声に酔ってしまう。


「そりゃ180校が集まってるんだからそうだろ?」


「『あぁ。この中にあいつらもいる。戦えるのかはわからねぇがなぁ』」


 その女の言葉に応えたのは断とポッピーだ。


「だ……断君……やつらって? さっき言ってた、合宿で知り合ったとかいう人たち?」


「そうそう! しかも前年の優勝校だぜ! また戦いてぇなぁ!」


「えぇ。ですから、彼等と当たるまでは負けてはなりませんわよ! ていうか誰にも負けてはいけません! 目指すは優勝あるのみですわ! わかりましたわね、皆様!」


 私立神童高校の面々に向けて言ったセリフだが、麗香は主に1人の方に向けて言っていた。


「……特に、律子。貴方は協調性が薄いのですから、チームプレイはしっかりしていただかないと」


「はーい、わかってるってばぁ」


 とか言いながら、彼女は並んでる間にも爪のマニキュアを塗り直している。


「言った傍からあなたは!? それが我が神童のブランドを落とすとなぜ分からないんですの!? その胸の脂肪に脳ミソ取られたんじゃなくて!?」


「はぁ!? 関係ないし! そっちこそ頭が硬すぎるんじゃないの、その胸みたいに!」


「あ……あの、お嬢様、律子さん。喧嘩はおやめくださ──」


「もー! やっぱカナはやさしーなー!」


 そう言って律子はカナにダイブ。顔を胸にスリスリさせる。


「えぇっ!? あの、リツコさん!?」


「料理も掃除もできるしオマケに気遣いも完璧とかー! やっぱあたしのメイドさんになってよぉ~カナ~!」


 かと思えば、茶色のくるくるヘアーをブンブン振り回しカナに頬ずり。


「ちょ……ちょっと! カナは私の専属メイドですの! 気安く触らないで下さいまし、この脂肪分の塊!」


「あらぁ、それはこれを言ってるの?」


 律子はそう言うとカナから顔を離して麗香に向き直り、自身のたわわな胸に手を当てた。


「しょ~がないよねぇ~、こればっかりは。麗香お嬢様は、ひ・か・え・め・ですもんねぇ~?」


「セ、セクハラですわよ!?」


 麗香は自身の胸をじろじろ見てきた律子から守るように胸を両手で隠す。その反応に満足したのか、律子は断に向き直る。


「ねぇ、断もおっきい方が好みよねぇ?」


「それを俺に聞くかよ。……どうだろうな。言われてみりゃそんな気もするが」


「やっぱねぇ~! 男のコはおっきい方がいいんだよね、やっぱ♪」


「いや、それだけの問題でもなくてだな──」


「(……断君、おっきい方が好みなんだ)」


 そう思ってカナは自身の胸に両手を当ててみる。その手のひらにある程度納まる大きさの胸に小さなため息しか出ない。


「和真と丸男まるおもそうよねぇ?」


「『俺のご主人はいつも〔貧乳はステータスだ! 希少価値だ!〕っていってるが?』」


「そ……それは和真くんが見てるアニメじゃないかなぁ?」


「全く……和真もそのアニオタと丸眼鏡を外せば結構な美男子ですのに。もったいないですわ」


 麗香の言葉に和真はピクッと反応すると、首からかけたノートパソコンのキーボードを打っていた手を止めて、眼鏡に手を掛ける。

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