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I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第3章 I-G
74/313

ドキドキ、トキメキ 5


「最終警告、逃げるなら今のうちだ!」


 流斗のその一言が届いてくれと祈りながら、3人は女子達を連れて外に出たのだった。





「はぁ……はぁ……」


「はぁ……はぁ……」


「はぁ……はぁ……ミッション……コンプリートだ」


 その流斗の言葉に安堵し、刃達は旅館の外で冷たい砂利の上に尻をつけた。


「ちょっと何ですのこれは!? ちゃんと説明してくれるのでしょうね!?」


「……みんな、どうしたの?」


「あ……あの、大丈夫、刃君?」


 連れ去った女子が思い思いに口にする。

 とりあえず亮には自分の靴を履かせておいたが、やっぱりぶかぶかだ。


「あいつの性格からするとそろそろ、の、はずだが……」


「そろそろ?」


 息も絶え絶えに自らの見解を言う流斗に、刃と翔矢は首肯のみで同意した。


「……そろそろって、さっきからなんの話してますの?」


「「「今にわかる」」」


「……今に?」


 女子全員の頭の上に疑問符が浮かんだ、その時だった。




──ドガァァァ!




『!!!?』


 旅館から激しく大きく、しかし鈍い音がこの夜の虫達のコンサートに割って入る。始まったか。


「なっ、何ですの、この音は!?」


 さっきまで刃達がいた部屋から激しい音が連続的に響き渡る。

 ほかの客がいたら迷惑極まりないが、今回はまだ貸切だし、損害も壁等の破損程度で済むだろう。安心安心──




「んぎゃぁぁぁあぁぁあ!!!?」


「(あっ……ごめん、矢田。お前らを忘れてた)」



「グボッ、グバァ!?」


 鈍い音と共に断の苦痛の叫び。


「リ、リフレ──グボアッ!?」


 どうやら無限が『反射』しようとしたらしい。悪いことしたなぁ。


「バッ、バカなぁぁぁぁあぁぁぁ!!?」


 あれほど寝ていた鎧亜も起きるほどの衝撃。さすがは俺達のトラウマと刃達も納得の表情で頷く。


「ちょ、まっ光ちゃグボ、グバ! バグ、グピッ! 手を止めゴハッ、ガハッ、ガヒッ、ゴホッ! ルールをガッ、ギャッ、オグ! あはん♪ グベ、ガハ、グェ……!」


「(あっ……一瞬、矢田がイった)」


 そんな一部始終を言葉と音から推測しながら、さながら怪獣が練り歩いていくような音が止まるまで。

 その惨劇が繰り広げられている部屋を、刃達は外から涙ながらに傍観していたのだった。




          ✩




 彼等が部屋に戻ると、つい一刻前まで刃が『ある程度、綺麗に整理した』と自負していたそこはまさに惨劇の後。

 真ん中で「たのしかったぁ~」と伸びている光の回りには断、矢田、和真という名前があった累々たる3体の死体。

 壁や襖にはジェンガのピースがぶっ刺さっている。

 そして部屋の隅に息を乱したままただ一点のみを見つめ動かない鎧亜と無限。2人とも汗がすごい。


「ハァ……ハァ……っ、馬鹿な……ハァ……この俺が……恐怖しただと……」


「……なんだ、ありゃ……化け物?」


 さもありなん、と刃達3人は頷く。


「何よ、なっさけないわね~。あんたらそれでも男なの?」


 いや、災害に性別はない。刃は本気でそう思う。


「……これ……一体何があったの?」


 亮を始め、連れ去った女子生徒の面々はその部屋の状態を見て固まってしまっている。


 そりゃそうだろう。一体ただのジェンガでどうすればここまでできるのか刃も知りたい……かと思ったが、そうするとあの時を思い出さないといけない。否、撤回。絶対に知りたくない。


「さぁ……片付けるか」


「あぁ、そうやな」


「おう」


 刃達3人は慣れた手つきでピースを拾い集める。


「じゃあ、今度はみんなでやりましょうよ! 人数も増えたし!」


 その光の言葉に同意するものは、1人もいなかった。

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