ドキドキ、トキメキ 4
そう……あれは小学3年のこと。忘れなどしない。
彼等幼なじみは昔から4人で遊んできた。
この4人というのは何をするにもぴったりな数字。ゲームも4人対戦のものが多いし、鬼ごっこも逃げ回るやつが3人もいれば充分なわけで。
だから、その時も4人だった。
小学生の子供部屋としては大きかった刃の部屋で、子ども4人で。
まず、保護者がいなかった。これが一番の問題。
『ねぇねぇ、私、お父さんにジェンガ買ってもらったんだ! みんなでやりましょうよ! 遊び方も教わったし!』
光のこの言葉が数分後、刃達に僅かな片鱗ほどの記憶と共に、恐怖を植え付ける言葉となったわけだ。
「……翔矢、刃」
さすが流斗。しっかりと冷静に吹きこぼしたお茶を台拭きで拭いてから、屹立する。
2人はわかっていた。流斗が次に言い出すであろう言葉を。
「……走りに行くぞおおお!!!」
「オオオォォオォォ!!!」
流斗の掛け声に、刃達は片手の拳を高く天井に向けて応える。
「え……ええぇ!?」
「あ、あんたら何よ急に!? もう夜よ!?」
そんなものは知らない。なぜなら、今回はこちらの命がかかっている。陳腐な意地など張ったところで意味は無い。
「光、俺達に遊んでいる暇などない。こういう場面での走り込みこそ、他に差を付けられるチャンスじゃないか」
もっともらしいことを言う流斗の言葉に、刃も翔矢も首が外れるかと思うくらい頷く。
もちろん、これは口実だ。この場を自然に逃れるための。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それにしたって何で今からジェンガやろうって時に走りに行くのよ! 終わってからでもいいじゃないの!?」
「ホントだぜ! 翔矢はどんなもんでも受けて立つんじゃないのか!?」
「今は緊急事態や! 悪いことは言わん! 断もこい! 後悔しても遅いんや!」
「こ、後悔?」
「2人とも! 今、優先すべきことを間違えるな!」
その流斗の言葉に1回頷いて応える。そう、今やるべきことは、被害者を1人でも減らすこと。
「用意!」
──ガッ!
その流斗の号令で、刃は亮、翔矢は蓮の隣、流斗は麗香とカナの間に入る。
『……へ?』
そしてそれぞれ腕を組み、がっちり固定した。これで逃げられることは無い。
「え、ええっ!? じ……刃君!? えっとえっとぉ……」
「……?」
「なっ、なんですかぁ!?」
「ちょっと、一体何を──」
「GO!!!」
今はわからなくていい。後でいくら罵倒されてもいい。とにかく……今は緊急事態なのだ。
あの惨劇に女子を巻き込み、一生モノのトラウマを植え付ける訳にはいかない。だから、女子だけでも逃がす。
「「ウォォォオォォ!!!」」
その流斗の号令を合図に3人は走り出す。出来る限りの最高速度で外を目指した。
「じっ……刃君!?」
靴など履かせている時間はないから、お姫様抱っこだ。




