ドキドキ、トキメキ 2
「ええええええええええ!!!?」
思わず光が叫び声を上げると、蓮は顔を真っ赤にしてまた布団に深く顔を押し込む。
もしかしなくても、これはそういう事だ。亮と光は顔を見合わせ頷き、隠れる蓮に優しく告げる。
「それはきっと……『恋』だよ、蓮!」
「こ……い?」
「そう、『恋』よ! いやー、やっぱり蓮も女の子なんだよね! ちょっと変わった感じだったから心配してたけど……ってそれは失礼か、ごめん。……で、相手は誰!?」
「……わかん、ない。これが、恋なのかも……」
矢継ぎ早な質問に、蓮はさらに顔を強く押し込めて答える。
蓮の一言に光はハッとして口を抑えた。いくらなんでも焦りすぎたか。
「そ……そうだよね、いきなりわからないよね! ゆっくり、焦らなくていいんだよ。話したくなったら話して。私たちでよければ力になるよ?」
「…………ううん。大丈夫だから」
「もう、蓮。こんなときくらい頼りなさいって! 私たちに任せなさいよ! 誰でも呼び出してセッティングしてあげるわ!」
まさかその相手が『火野刃《恋の相手》』だとは露ほども思わない。
「……で、相手は私たちには言えない?」
フルフルと蓮は首を横に振る。
「…………うん。大丈夫」
その蓮の声に2人は疾風のごときスピードで蓮に近づき、耳を傾ける。
「………じゃ……言うね」
「「う……うん」」
ゴクリ、と2人は息を飲んで、蓮の次の言葉を待つ。
「…………あのね」
「うん」
「……私が」
「うん!」
「…………『恋』した人は……」
「「うんッ!」」
──コンコン!
「「「!?」」」
そのドアのノック音に3人は気持ちも身体も軽く跳ね上がる。
「は、はいッ!?」
「皆さん、いらっしゃいますの?」
そのノックの主は、花星麗香だった。
✩
「……で、何なの? いきなり集まろうって」
「ほら、あと数日で夏休みも終わりでしょ? そうなればもう次に会う時はライバル。馴れ馴れしくなんてできません。だからその前にみんなで遊ぼうと断が言い出して……」
呼び出された女子の面々は男子の部屋に向かう。
別に遊ぶのは構わないし、その意見自体には賛成だ。賛成なのだが……。
「……まぁいいんだけどさ、もうちょいタイミングってものが……」
「タイミング?」
「……なんでもない」
光は蓮の決意を聞きそびれたことが少々……いや、盛大に気になっている。
しかし、麗香に当たったって仕方がない。蓮の想い人を聞くのはまた後日にするとしよう。
「さて、ここでしたわね、断達のお部屋は。カナ」
「はい、麗香様」
男子部屋の前まで来ると先頭をきっていた麗香が一歩下がり、カナを呼ぶ。
カナはその声がかかるとドアを2度ノック。
「すいません。皆様おりますか?」
「おぉ、きよったか! はいって大丈夫やで~」
そう言われたのでカナがドアを開けると、その目に意外と整理され綺麗な部屋の風景が飛び込んできた。
「へぇ、もっとグッチャグチャを想像してたから驚いた」
「刃が主婦化しとんねや」
さもありなん、とその言葉に皆が納得した。
「……ってあれ? 今の声、翔矢よね? どこにいるのよ」
さっきから声はするが、姿が見えない。
「おっ、悪い悪い! ちょいこっちになぁ」
「こっち?」
その声は玄関の横にあったトイレと風呂が設置された空間から聞こえる。
「あぁ。ごめん、用足し中ね。私たちは上がってていい?」
「かまへんかまへん! もうすぐ男子も帰ってくるから。ワイももう出るしな」
「……は?」
──ガチャッ!
そう言うや否や、その空間から濡れた髪と体に、腰にタオルを1枚巻いた翔矢が現れた。




