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I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第2章 特待生
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8『ふりだしに戻る』


「「誰が可愛いんだって?」」


「!?」


 急いで手を離して声の方を見る。そこには周りを覆うカーテンから顔を覗かせる2人組。


「流斗! 翔矢!」


「静かにしろ、ここは保健室だぞ?」


「……あっ」


 思わず声を荒げてしまったことに焦り、口を塞いで回りを見回してから刃はゆっくり口を開いた。


「な、なんで先に声かけないんだよ」


「いやー、声かけようとしたらいい雰囲気なもんでな」


「邪魔できんやろってなぁ」


 それにしてはタイミングを見計らったような感じだったが、それよりまず確認しなければならないことがある。


「あの後どうなったんだ! 藍は!? 鎧亜はどうなったんだよ!?」


「わかったわかった、説明するよ」


「藍はそこや、見てみ」


 翔矢が指差す先を見ると、


「……藍!」


 光の足元でクークー……と気持ち良さそうに寝息を立てる藍がいた。


「……あの後、黒道鎧亜は雅ちゃん先生に邪魔されて素直に引き下がった。でも、諦めた訳じゃなさそうだった。これからも警戒は怠らない方がいい」


「そ、そうだな」





「私がどうかしましたか?」




「「「!?」」」


 急に後ろからかかる声に流斗と翔矢は超反応。振り替えって、その顔に安堵する。


「なんや雅ちゃん先生か。驚かさんといてくれ」


「え? 驚かせてしまいましたか。それはすいませんでした」


 宮守雅人。刃達の担任で、今回の件で刃達を救ってくれた人物でもある。


「……刃君、容態はどうですか?」


「は、はい。全然平気です。このあとの授業は出れます!」


「いいえ、出ることは許しません。ここで光ちゃんと共に休んでなさい。今回は特別中の特別ですから」


 その優しい笑顔にこっちまで安心してしまう。本当にこの先生はすごい。


「それにしても、おめでとう刃君。I'tem、出たのですね」


「……えっ、あっ!」


 言われて思い出す。そうだ、鎧亜との戦闘中にI'temが出たんだった。


「これで『IーG(アイグランプリ)』の参加券を手に入れられるかもしれませんね。いやー、一時は刃君はどうするのかって職員の間で話題だったのですが、これなら心配はないですね」


「あ、アイグランプリ!?」


 『IーG(アイグランプリ)』。それはI'temの祭典で各学校で選りすぐりのメンツが集まって、最強の学校を決めるものである。


 毎年の盛り上がりはとてつもないもので、『IーG』に出たくてこの強豪、桜ヶ峰に入学する者も少なくない。


 そして来週からその代表を決める選定が先生たちの間で行われる。刃はI'temを持っていなかったので、半分諦めていたが。


 そうか、自分が出れる可能性があるのか。


「……そっか。そっか!」


「良かったのぉ、刃!」


「おめでとう」


 翔矢と流斗も祝福してくれる。こんなに嬉しいことはない。


「……もちろん可能性の話でしょうが、私は期待していますよ」


「……はい! 絶対に、代表になってみせます!」


「いい心がけです。では刃君のI'temを今一度見せてもらえますか? こちらで登録しておきたいので」


「はい、えっと……」


 そうして刃はポケット、背中、身体中、パンツの中と確認し、




「……ない」


「「「…………え?」」」




「……ばか」


 最初から起きていた(・・・・・・・・・)光の小さな呟きに気付く者は、誰1人いなかった。

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