7『一時の平穏』
「ば、バカな……!?」
「そう驚くこともないでしょう? こう見えても私はI'tem実技担当総責任者です。このくらいできなければやってられませんよ」
「……チッ!」
鎧亜は一旦距離をとって構え直す。油断していた。まさかここまでやる教師がいるとは。
だからこそ、もう一度膨大な燈気を練り直す。今度はさっきのようにはいかない。
「……!? 先生!」
「……やれやれ」
しかしそれは刃と宮守も察知。宮守は自身の胸についた教員バッチに手を当てた。
「『参紋字──」
「『解除』!」
と、宮守の叫びと共に燈気を練っていた鎧亜のI'temが紋字を放とうとした瞬間、その太刀は宙へ霧散する。
「!?」
「……私たち教員は生徒の安全を守る義務があります。よって校内には私たちが強制的に生徒登録している者のI'temを使えなくする権限を持っているのです。これで君は自由にI'temを使えない」
「……っ!?」
「……まだ、やりますか?」」
「……っ!」
さすがの鎧亜もI'tem無しでは分が悪いと判断したらしく、踵を返して歩き出す。
「ま、待てよ黒道鎧亜!」
「……今はそのガキは預けておく。しかし覚えておけ。然るべきときにもらい受ける」
そう吐き捨てて、鎧亜は校舎の中へと消えていった。
「……くそっ」
そこで刃も緊張の糸が切れたせいか、その場に倒れこんで気を失ったのだった。
「……ここは」
寝てしまったのか、自分は。長い間寝ていたような気がする。なにかフワフワとしたものに包まれている。毛布だ。
辺りを首だけで見回すと、この独特の匂い。どうやら保健室らしい。刃がゆっくり体を起こすと、
「……う、ん」
「ひ、光!?」
隣で光が寝ていた。頭や腕に包帯を巻いているが、刃のベッドにうつ伏せてスヤスヤと寝息をたてている。
無傷ではないにしても、無事だ。
「……良かった、良かった」
思わず頭に手を当てて確認すると、心から安堵する。いつもの寝顔だ。無邪気で子供のような綺麗な寝顔。
「……じ、ん」
「……」
思わず辺りを見回す。辺りに人影はない。今は自分と光の2人きり。刃は光の頭を撫でていた手を動かす。本当に綺麗な寝顔だ。いつも口が悪いやつと同一人物とは思えない。
「……いつもこんな顔なら、可愛いのにな」




