1『ヒーローの誓い』
昔からだが、鎧亜には『疑問』を抱くことがなかった。
なぜなら、自分は常に正しい立場にあったし、それを否定し訂正するものもいなかった。
それは自身の力ゆえに。立場ゆえに。誰も物言いなど出来なかった。
だが、今は違う。
「(……なんなんだ、こいつらは)」
さっきの大門寺光といい、風間翔矢といい、水仙流斗といい、
「……なんなんだ、お前らは」
この目の前で立ちはだかる男、火野刃も。彼らに鎧亜が生まれて抱く初めての感情。
「俺は、そうだな」
刃は昔、光たちと約束したことを思い出す。絶対に守ると。必ずピンチに駆けつけると。
「……こいつらの、ヒーローってとこだ」
彼らの、ヒーローになると。
「……ふざけるなよ、モブが」
不快だ。素直に鎧亜はそう思った。
弱いものが何を言っている。『五紋の砦』にすら選ばれなかった人間が、偉そうにものを語るその態度。
「……どうやら、本気で死にたいらしい」
鎧亜は高く太刀を掲げ、
「雑魚が……いつまでも俺の前に立つな!!!」
『ガアアアアアアアアアア!!!』
それを降り下ろすと、10体の鮫が一斉に刃めがけて地中に潜り接近していく。
「……っ、アカン!」
「くそっ!」
翔矢と流斗も体を動かそうとするが、まだダメージが大きすぎる。
「……ふざけるな、か」
そう呟いて刃は剣を掲げながら後ろに立つ藍を見る。目に涙をためるその姿。
次に流斗と翔矢、大事な友達で、唯一無二の親友。
そして最後に、光を見た。ズタボロで意識もはっきりしていない。
誰だ、藍を泣かせたやつは。誰だ、親友を傷つけたやつは。
『ガアアアアアアアアアア!!!』
「「刃ッ!」」
流斗と翔矢が叫んだ瞬間、地中から刃の目の前に飛び出してきた10体の鮫。刃に逃げ場などどこにもない。
「終わりだ。俺を不快にさせたこと、死んで詫びろ!」
──誰だ、光を傷つけたやつは!
「『初紋字』!」
刃は目一杯に剣に燈気を込める。全ての思いを、全ての力を、ただ一刀に乗せて。
そして、それを一閃。振りきった。
「『爆』!」




