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I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第2章 特待生
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1『ヒーローの誓い』


 昔からだが、鎧亜には『疑問』を抱くことがなかった。

 なぜなら、自分は常に正しい立場にあったし、それを否定し訂正するものもいなかった。

 それは自身の力ゆえに。立場ゆえに。誰も物言いなど出来なかった。


 だが、今は違う。


「(……なんなんだ、こいつらは)」


 さっきの大門寺光といい、風間翔矢といい、水仙流斗といい、


「……なんなんだ、お前らは」


 この目の前で立ちはだかる男、火野刃も。彼らに鎧亜が生まれて抱く初めての感情。


「俺は、そうだな」


 刃は昔、光たちと約束したことを思い出す。絶対に守ると。必ずピンチに駆けつけると。


「……こいつらの、ヒーローってとこだ」


 彼らの、ヒーローになると。


「……ふざけるなよ、モブが」


 不快だ。素直に鎧亜はそう思った。

 弱いものが何を言っている。『五紋の砦(ファイブブレイザー)』にすら選ばれなかった人間が、偉そうにものを語るその態度。


「……どうやら、本気で死にたいらしい」


 鎧亜は高く太刀を掲げ、


「雑魚が……いつまでも俺の前に立つな!!!」


『ガアアアアアアアアアア!!!』


 それを降り下ろすと、10体の鮫が一斉に刃めがけて地中に潜り接近していく。


「……っ、アカン!」


「くそっ!」


 翔矢と流斗も体を動かそうとするが、まだダメージが大きすぎる。


「……ふざけるな、か」


 そう呟いて刃は剣を掲げながら後ろに立つ藍を見る。目に涙をためるその姿。

 次に流斗と翔矢、大事な友達で、唯一無二の親友。


 そして最後に、光を見た。ズタボロで意識もはっきりしていない。


 誰だ、藍を泣かせたやつは。誰だ、親友を傷つけたやつは。


『ガアアアアアアアアアア!!!』


「「刃ッ!」」


 流斗と翔矢が叫んだ瞬間、地中から刃の目の前に飛び出してきた10体の鮫。刃に逃げ場などどこにもない。


「終わりだ。俺を不快にさせたこと、死んで詫びろ!」




──誰だ、光を傷つけたやつは!




「『初紋字ファーストスキル』!」


 刃は目一杯に剣に燈気を込める。全ての思いを、全ての力を、ただ一刀に乗せて。


 そして、それを一閃。振りきった。




「『ばく』!」




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