6『とっておき』
流斗は直感した。このままでは全員やられる。それだけの実力差。やはり特待生とは別格だったことを実感した。
だからこそ、流斗も覚悟する。鎧亜を倒せる可能性はあれしかない。
「……刃、光。翔矢と藍を頼む」
「りゅ、流斗!?」
流斗は一歩前に出て両手で剣を構え直す。切っ先に鎧亜を捉え、燈気を練る。
「……まだ諦めないのか。しぶといやつだな」
「あいにく、可能性がある以上は諦めが悪いんだよ」
そう言って流斗は小さく笑うと、I'temを収納状態に戻した。
「「!?」」
そこで刃と鎧亜は驚愕するが、その内容は全く違う。
「や、やめろ流斗! それを使ったらお前──」
「他に、可能性があるのか?」
「……っ!」
柔らかな笑顔を向けてくる流斗に刃は何も言えなくなる。
刃はわかっている。これから流斗が何をしようとしているのか。
「(……なんだ? アイツは何をしようとしてる)」
対して鎧亜はその行動を警戒していた。流斗の燈気が高まっていくのを感じる。それ自体は鎧亜にとって大したことはない。だが、その燈気の膨張の差が大きい。
それにI'temを収納状態に戻すのもおかしな話だ。収納状態にすれば解紋華も使えなくなる。この現状でその選択は戦闘放棄に近い。
かといって水仙流斗が勝つことを諦めたわけでもない。そんなものは目を見ればわかる。
「……貴様、いったい何を考えてる」
「何を、か。わからないなら、その身に教えてやる!」
そう言って流斗は燈気を目一杯に込めた自身のI'temを口元へ運び、
「っ!?」
そのまま、食べた。
「ぐ……おおおおおおおおおおおお!!!」
膨大な燈気が流斗の体から溢れ、今にも流斗の四肢を引き裂いて弾けんばかりに暴れまわる。
「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」
それと同時に、流斗の体にも変化が訪れた。犬歯が伸びて皮膚に微量の鱗が出現。そして深い蒼の瞳が鎧亜を捉えた。
「……お前、まさか!?」
そこで鎧亜は理解したが、時すでに遅し。流斗はその溢れる燈気の全てを口に集束し、それを一気に放出した。
「『弐紋字・息吹=蒼=《アイスブレス》』!!!」
「……っ!?」
流斗の口から放たれたその息吹は辺りの地面や空気全てを凍らせて鎧亜へ向かい、直撃した。




