3『同等』
「『麟』!」
翔矢の攻撃をいなしながら鎧亜は違和感を覚えていた。
なにか攻撃が直線的すぎる。まるで読ませるためにわざとそうしているような。
「……貴様、何を考えてる?」
「なんや、ワイは普通にしてるだけや……でっ!」
翔矢の追撃を刀で受け止め、そのまま鍔迫り合い。単純な力比べ。
「ハアッ!」
「グッ!?」
そう思ったが、一瞬にして鎧亜に弾き返される。やはり地の力は鎧亜の方が上。それを翔矢は確認した。
「……まぁ確かに、ワイもただ単純に仕掛けてるわけやないで。もうそろそろやろうしな」
「……なんの話だ?」
「……簡単な話や。これは試合やない。負けられない戦いなんや。せやったら、勝つためにはなんでもする。普通のことやろ?」
そう言うと、翔矢は燈気を練り直す。
「そっちも、準備できたみたいやし」
「『鞭』!」
「!?」
背後から感じた殺気に鎧亜は超反応。飛んできた何かを弾いて距離を開ける。
「……なるほど、今までのは時間稼ぎ、というわけか」
「そういうことや」
その視線の先には手に持つ剣から水を出して自在に操る流斗が立っていた。
「まさか、2対1で卑怯なんて言わないだろう?」
「……何かと思えば、警戒して損した。その程度で俺と同等に戦えると思ってるのか」
「「同等?」」
翔矢と流斗は目を合わせて、軽く笑いあってから鎧亜に得物を構えて向き直る。
「……同等かどうかは」
「やってみてから判断しいや! 『麟』!」
「『鞭』!」
身体に風を纏って翔矢は一気に鎧亜に肉薄。刀を降り下ろす。
流斗は地面に剣を突き刺して紋字を発動。地面の至るところから水の柱が意思を持つようにウネウネと動いて鎧亜を取り囲んだ。
翔矢の攻撃を後ろへいなして鎧亜はこの先の展開を展望する。
翔矢の切り返しのスピードは先程のやり取りでわかっている。すぐには切り返してはこれないし直線的なことには変わらない。来る方向もタイミングも読めている。怖いことはない。
ならば、今片付けるべきは──
「貴様からだ」
流斗に狙いを定めて燈気を練る。まずは頭をやるのが戦いの定石。
「『初紋字──」
──ドカァ!
「!!?」
突如、鎧亜の脳天に衝撃が走った。
「困るなぁ、ワイを無視されるんは」
この声は間違いなく翔矢。だがなぜだかはわからない。
少し横目で確認した感じ、どうやら蹴りを食らったらしい。しかし今攻撃が飛んできたのは翔矢がさっき飛んでいった後ろではなく、鎧亜の斜め上から。
いったいどうやってあの高速で移動している状態からこの数秒でこちらに方向転換したのか。その方法がわからない。
一撃をいれた翔矢は流斗の隣に戻って刀を構え直した。
「……貴様らっ!?」
「貴様じゃない、俺は水仙流斗」
「ワイは風間翔矢」
「「2人でお前と同等以上の存在だ」」




