表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
I'tem(アイテム)~最弱のヒーローの物語~  作者: 西野大河
第2章 特待生
30/313

1『VS鎧亜』


「……もう一度言う。そのガキをこちらに渡せ」


 黒道鎧亜は表情なしに刃達に威圧をかける。

 その漆黒の輝きを放つ鋭い眼光。それだけで目の前にいるものを平伏させるような、そんな威圧感。


「……どういうことだかわからんが、こちらは藍をお前に渡す理由も、その気もない」


 威圧をかける鎧亜に切先を向けながら流斗が応えるが、その手はカタカタと震えていた。


 それは別に流斗に限ったことではなく、翔矢、体中から汗を流し息も絶え絶えの刃と光も同様で。


「……黒道鎧亜。藍をどこへ連れていくつもりだ。連れていってどうするつもりだ?」


 流斗が問うと、鎧亜は右手に持っていた太刀の峰を肩に担いで告げる。


「貴様らが知る必要はない。ただそいつを俺に渡せばいい」


「……そんなことで俺達が納得するとでも?」


 流斗は流れる汗も拭わず、ただ鎧亜の行動だけに目を張っていた。


「いや……貴様らが納得いく、いかないの話じゃない」


 そこで鎧亜は一息置くと、




「……俺が貴様らを安全に帰すか否か(・・・・・・・・)の問題なのを理解しろ」




──ゾワッ!




『……っ!?』


 突如、刃達の背筋を嫌な感覚が走るのがわかった。その感覚に皆、身体を強張らせる。


 純粋な殺気。さっきとは比べものにならない規模のそれは真っ直ぐ刃達に牙を向いた。


「……ッ!」


 流斗は首を左右に振り、意識を集中し直して目の前に立つ『脅威』に目を向けた。


「……ほう。これくらいは耐えられるのか。さすがは『成績だけの五紋の砦』なだけはある」


「……は?」


 その言葉に翔矢は反応。汗を拭って立ち上がる。


「ちょい待てや。成績だけの(・・・・・)ってのはどういうこっちゃ」


「その言葉通りだ。対した実力もないのに持ち上げられ、見物にされている哀れな連中。それがお前らだろ」


 そう吐き捨てると、鎧亜はフッと軽く嘲笑する。


「聞き捨てならんなぁ。そらまるでワイらを“雑魚”ゆーとるもんやないけ」


「そういったつもりだ。頭まで弱くちゃ敵わないな」


「……なら、その身で確かめてみぃや!」


 そう言い放った瞬間、翔矢は右手に構えていたキーホルダーに燈気を込めて集中。


「解紋!」


 自身の刀を発現。刀身を地面と平行に構え叫んだ。


「『初紋字ファーストスキルりん』!」


 その刹那、翔矢の身体を風が包み込み、刃達の視界から消え失せる。それほどのスピード。

 そして翔矢は一瞬にして鎧亜の背後に回り込み、一閃。


──ガキィィィン!


 しかし、その目にも止まらぬはずの翔矢の一撃を、鎧亜は肩に担いだ太刀を少し動かしてその柄だけで防いだ。


「……チッ!」


 翔矢が驚嘆したのも束の間。鎧亜は肩に担いだままの刀で翔矢の刀を弾くと、なにもなかったかのようにその場に立ち尽くす。


「……いくら『りん』が使えても、それはそのはやさについて来れないレベルというのが求められる。つまり……“その疾さについて来れるもの”には脅威でもなんでもない」


 翔矢の奇襲を受けたというのに、黒道鎧亜は全く顔色一つ変えなかった。


「(……ワイの『げき』の1段階上の技である『りん』をこうも簡単に止められるとはなぁ。想像通りの化けもんや)」


 しかし、翔矢の頭はクール。冷静に戦いを分析する。このぐらいは噂からも想定できる。

 問題は、ここより上(・・・・)だ。


「……試してみよか」


 この状況に少しワクワクしている自分を戒めながらも、翔矢は小さく笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ