表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

006

「財宝、か」


 溜息を吐いてそう言ったのはじっちゃんだった。

 じっちゃんはそうして立ち上がると、


「ちょっと待っておれ」


 とだけ言ってどこかへと消えていった。

 そういうわけで、静寂が場を包み込んだ。

 はっきり言ってじいちゃんはどこに消えたのか全然解らなかったけれど、ただ待っていろと言ったということは何かを探している、ということになるのかな。じっちゃんはこの状況で僕とミルディアで二人きりにして何をしているのだろうか。


「ねえ、あなた」

「うん? どうしたの?」


 ミルディアが唐突に何かを言い出した。

 よく見ると彼女はちょっと怒っているようにも見えた。


「……私のほうが年上だと思うのだけれど。あなた、幾つ?」

「十二歳かな」

「ほらね。私は十七だもん。五歳も年上よ。年上だと解ったら、何をするか、解る?」


 年上だから何をするか……?

 うーん、全然解らないなあ。


「年上だから、何をするの?」


 首を傾げて、質問してみることにした。


「あのねえ……」


 ミルディアは溜息を吐いた。何か悪いこと、言ったかな?


「私もあまり強くは言いたくないのだけれど、年下が年上に対してそれなりの態度をもって挑むとか無い? 旧態依然としたものは駄目だと思うけれど」

「そうかなあ。別にいいんじゃないかな。この島だと、特に年下とか年上とか関係ないけれど」

「関係ない……ええ……。うん……、まあ、いいか……」


 ミルディアはもうなんか諦めてしまった様子。

 結局何が言いたかったのだろうか。よく解らなかった。


「おお、待たせたな。探してきたぞ」


 そう言ってじっちゃんがやってきたのは、それから少ししてからのことだった。

 じっちゃんは古い紙を丸めたものを持っていた。

 もしかして、それが海図なのだろうか。


「……まさか、これは」

「お前さんの言っていた、海図だよ。これがどれほどの価値があるのか、はっきり言ってわしには解らん。だから、価値の解らないわしが持っているよりもお前さんが持っていたほうがいいと思うのじゃよ。だから、それはお前さんに与えよう」

「ほんとう?! やった!」


 それを聞いてミルディアは笑みを浮かべて、ガッツポーズした。

 じっちゃんもそれを見てすごく楽しそうだった。

 もしかしたら、僕が言うチャンスは今しかない――?

 そう思って、僕は声を出した。


「あ、あのさ」


 じっちゃんはそれを聞いて、僕のほうを向いた。

 そして、じっちゃんは、


「どうした、急に水を差すようなことをして。何があった?」


 まるで僕が何を言いたいのか解っているかのように、冷静に、そう言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ