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005

「ご迷惑をおかけしてしまって、申し訳なかった」


 あれから少しして。

 リビングのテーブルに腰かけているじっちゃんと僕に頭を下げた少女は、そう言った。


「まあまあ、頭を上げるといいよ。別にあんたが来たことについては怒っていない。わしが怒っているのは勝手に人の家に入り込んで人の家族の批判をしていること、じゃ。それが憎たらしく思ったから、声を荒げたまで」


 じっちゃんはそう言ってお茶を啜った。

 確かにじっちゃんは終始それで怒っているようだった。冷静にあの軍人? みたいな人が立ち去ってからあっという間に冷めてしまった。


「……まあ、あんたが誰だか問い詰めるつもりはないが、迷惑をかけてきたあいつらは許せんな。……いったい、どうしてこの島にやってきたのか、話してはくれないか?」


 じっちゃんの言葉に、女性は頷いた。


「ありがとう。私の名前はミルディア。ミランジ王国の姫です」


 それを聞いて目を丸くするじっちゃん。

 解らなかったのは僕だけだったらしい。首を傾げて、じっちゃんのほうを見ていたわけだけれど――。


「なんじゃ、何も解らんのか。ミランジ王国はこの島の北にある大きい島にある王国のことじゃ。あの王国はてっきりこの島に関与してこないものだと思っていたが……」

「さすが、よくご存じですね。だてにあの大海賊の父親ではありませんね」

「……どこでその情報を手に入れた?」


 じっちゃんの顔つきが一瞬にして変わる。

 ミルディアの話は続く。


「いや。さっきそこの少年から話を聞いてね。私は彼に出会いたくて仕方がなかったのだけれど、まさか偶然その子供に出会えるとは思いもしなかった」

「あいつに、何を聞きたかった? 残念だが、あいつは死んだぞ。そして、王族に渡すものなど何もない」


 それを聞いて、今度はミルディアが目を丸くする。

 どうやら彼女のほうにも父さんが死んだことは情報として入っていないようだった。

 それを聞いて、この島がほんとうに閉じた島であることを理解させられた。


「……でも、諦めない。私は、彼が見つけた財宝を見つけるんだから」

「財宝?」


 じっちゃんはそれを聞いて眉をひそめた。

 それは僕も聞いたことのないことだった。財宝。父さんがそんなことを仕入れていたのだろうか? 確かに父さんは海賊だから、宝の一つや二つ集めていてもおかしくないと思うけれど。


「その海賊が手に入れたのは結局海図に過ぎなかった。……けれど、それを読み解いて宝を見つけると世界そのものの仕組みが変わってしまう。けれど、私はそれを見つけたい。だから、私はここに来た。……まあ、すぐに追手がやってきてしまったけれどね」


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