自己紹介……そして街へ
「『無能力者』…夢太?!」
はぁ?!無能力者ってなんだよ!他はちゃんとした能力だろ?!
「あれ…?全員能力者じゃ…?
「おまwwwwだっせww こんにちは~無能力者さぁんww」
くそ…コイツの声聞いてると無性に腹立つ…。
「それはもういいとして!自己紹介してませんよね!」
思えば言ってなかったな。黒髪少女が、そのまま自己紹介を始める。
「私の名前は水沢潤河っていいます。今後よろしくお願いします」
潤河ちゃんか…よし覚えた。
続けて俺も自己紹介する。
「俺は…、荒川夢太。夢に太いって書いてゆうたと読む。よろしくな」
潤河ちゃんは「ゆ…う…た、っねよし!」とメモを取っている生真面目な性格なんだろう。
「ぼ、僕は、有田大地っていいます!よ・・・よろっしくお願いします!」
うん・・・こんなにかっこいいのに人見知りか。残念だな…。
最後に赤髪が自己紹介する。ああ…見るだけでイライラする。
「私ーフレアってーの。聞いたことあるだろ、フレラ=フレイラって」
「「「「!!!」」」
久しぶり・・・いやもう何度も経験したがびっくりした。ここまでびっくりできたのも異世界のおかげか。
(説明しよう!フレラ=フレイラとは、アメリカのフレラ財閥の女社長のことであーる!アメリカだけでなく世界的に活躍する企業なのだーー!!そしてそこに生まれた子供が、フレア。長男フレイルは将来有望として育っていったが、その妹フレアは落ちぶれてしまったのだー!)
そしてなびく赤髪。そうかこいつからウザさを感じるのは、お嬢様気質があるからか…。納得。
そんなことより、今のうちに何か聞いておこう。これからの旅につながることを。
「お前ら何か、この世界のこと知らないか?」
全員揃って首を振る。だよなー…。
「あ…でもこの世界に来る前に誰かに話しかけられてその瞬間、ここに飛んできたような気が…。」
大地が言った
「あ、私も私もー。なんかさーいってらしゃーいていわれたきがするんだよねー。」
「私も同じですね」
「へぇ」
俺はそんな体験してないぞ…ってあれ?夢の話か?
「これはなにか大切な鍵になるかもな」
「そうですねー…」
沈黙……。
「まあ僕たちは敵を倒せば終わりですから関係ないですよ」
「だな」
「ですね」
「まぁね」
俺と潤河、フレアが肯定する。
「よし!」
と潤河が立ち上がる。
「おう。どうした。」
「このままでは敵に勝てないし、手がかりが必要だから街に行きましょう!」
「まあそうなるよな。じゃあここから街を探しに行こうぜ」
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そこから、実に数時間。
「暑いだるい気持ち悪い………」
うるさいなーフレアは……。
「お前意外と病弱なんだな。」
「うっさいなー…黙っててよ…」
道中2回もリバースしていた。こりゃ山に行ったら一瞬K.O.なやつだ。これからの旅が心配だな。
「大丈夫ですか?背負いましょうか?」
と大地が言う。
「?!いっいやいやいやいや、いいのいいの。ほ、ふぉんとに大丈夫だゃきゃら!!!…は、あはは…」
と遠慮するが、お前噛んでるぞ
「本当に大丈夫ですか?!ろれつが回ってませんよ?!本当に背負いますから遠慮しないでくださいね。」
直後ボフンと聞こえ、消え入るような声で
「……じゃ、じゃあ……のっ、乗せてもらおうかしら……。」
ん?…まさかこいつ……
「うん!どうぞ!」
と大地が眩しい笑顔で背中を差し出した。そして、フレアが抱きつくように乗り……大地の匂いを嗅いだ…。好きだからとは言えそれはないだろう。
「き……キモ。」
あ、つい言葉に出てしまった。
「どうしたの?」
と大地が聞いてくる。
「いや、フレ……いえ何でもないです。」
こっわ……フレアの目怖ッッ!!
大地が?と首をひねり前を向く。
「すみません、あれはなんでしょうか?」
と潤河が聞いてくる。
「どれだ?」
「ほらあれです。あれ。」
「あっ…綺麗だ…。」
と大地が言う。その背中で「それって私の事?!ねぇねぇそうなの?」とか言ってる馬鹿がいるがスルーだ。
「あれは…街だな。」
そして無意識に足が速くなる。
……トコトコトコ……タッタッタッタ……ダッダッダッダッダ!!
ああ…結局走ってしまった。
「このままダッシュで行くぞおおおお。」
「「「おー!」」」
そしてさらに速くなる。
……そして俺は知ることになる…無能力の弱さと
………強さを。