7号
クリスマスの翌日だった。
例年より少し遅めの初雪が降った日。
街一面に少しだけ雪が積もった日曜の夜に、いつにも増して“いきなりな”チャイム。
ドアを開けると仕事で会社のはずの彼がいた。
日曜に夜遅くまで仕事があるからと、昨日のディナーの後もすぐに別れたのに。
「え?なに?どぉしたの?」
彼は黙ったまま小さな箱を差し出す。
プレゼント用のリボンも巻かれている。
あれ?今日記念日だっけ?付き合って4年。
付き合い始めたのは夏だったし、私の誕生日はまだ先。
誰か他の女の誕生日と間違えてるのかも(怒)彼が開けろと言うので、怒りをグッと堪えてゆっくり開けてみる。
小さなダイヤの付いたリング。
「7号。安物だけど…。結婚してくれないか」
昨日はそんな素振り全然してなかったのに…。
・・・?。
よく見ると、玄関の前は彼の足跡でいっぱいだった。
そういえば、彼の耳が真っ赤になっている。
どうやらチャイムを押すまでずいぶん長く玄関の前でうろうろしていたらしい。
いい気味だ。
私なんか何年待ったと思ってるんだか(笑) 迷ってるふりをしてたっぷり時間をかけた後、返事をする変わりに、リングを左手の薬指にそっとはめた。
月明かりに照らされたリングはひんやりと冷たかった。
後で聞いた話だと、彼は雪が降ったらプロポーズするつもりだったらしい。
─── ゆ、優柔不断。少し早まったかしら。
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