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君のそばにいる理由

作者: 古東 白
掲載日:2026/01/22

初作品です。

カクヨムにも投稿しています。


【AIの補助利用について】

本作は構成・執筆をすべて自分で行っております。

読みやすさを自分なりに考えまして、表現の確認や誤字・脱字チェックにのみAI補助を利用しております。

侯爵邸の応接間。


ソファに僕と並んで座っている侯爵令嬢のセアラは動揺していた。


「婚約破棄……なぜ……ですか?」


セアラは全身が震えて言葉がうまく出てこない。


「理由?君みたいな地味な女は僕には釣り合わない。だから、婚約を破棄させてもらう」


セアラの婚約者は、ため息をつき目を逸らした。


セアラの家は長く続く由緒正しい侯爵家。

婚約者の家は伯爵家、それなりの歴史がある。

だけど、先代が商売で失敗して家が傾きかけている。


格上の侯爵家からの縁談なんて滅多にない。

セアラが一目惚れしたから、向こうの親は喜んで息子を差し出した。


「お前の家は金で俺を買った。愛?笑わせるなよ」


セアラを貶した後、僕に目を留め、舌打ちした。


「俺の嫌いな奴がこんな時まで一緒とはな!」


声を荒くして立ち上がり、僕に手を伸ばしてきた。

とっさにセアラが僕を庇い、ぎゅっと抱き締めた。


「ふん!結納金は返さないからな」


婚約者はそう言い捨てて応接間を出ていく。


結納金。婿養子として婚約した時に伯爵家が貰ったお金。

セアラの家からのお金だろう?

僕は出ていった扉を睨み付けながら、フンと鼻を鳴らす。


「ノワール、私が悪かったのかしら……」


僕はそっとセアラの手を撫でた。


「ふふ……慰めてくれてるのね、ありがとう」


セアラは僕の頭を撫でてくれた。

セアラに撫でられるの嬉しいんだ。気持ちがぽかぽかする。


「あなたは家族同然だもの。同席するのは当たり前よね」


セアラが家族って言ってくれた!

僕のお母さんは、すごくすごく雪が降った日に、僕を抱き締めながら死んでしまった。

僕は、助けを求めて外を歩き回った。

そして、寒さで動けなくなった僕を助けてくれたのがセアラだ。


セアラは命の恩人なんだ。

だから、一生セアラと一緒にいるよ。

僕が生きている限り守ってあげるんだ。


でも、セアラと侯爵家が求めているのは一生をともにする相手だ。

僕では色々と足りない。


セアラの婚約破棄の経緯を聞いて、侯爵夫妻はすごく怒った。

向こうの伯爵家からは謝罪されて、婚約破棄はしないでくれと言われた。

だけど、セアラの気持ちをこれ以上傷つけたくない、と断った。


結局、両家で話し合い、婚約破棄の書類も作成して、二度と関わらないことを約束した。


元婚約者も不貞腐れながら、言葉だけの謝罪をしていたけれど、セアラは毅然とした態度で突っぱねた。

何度も婚約破棄の撤回を申し入れてきたけど、セアラは応えなかった。


婚約破棄で、セアラは心が傷ついてしばらく臥せってしまった。

僕はセアラの悲しい顔は見たくない。

でも、なにも出来なくて、何度も神様にお願いしたんだ。


僕の命をあげてもいいから、セアラを幸せにしてって。


夜にお願いしていたら、お星さまが1つ瞬いて流れていった。


そのひとつき後、来ては行けないはずの元婚約者が夜にこっそり邸の庭に忍び込んできた。

セアラに、婚約破棄の撤回を無理やりさせようとしたんだ。


僕が、庭をうろつく元婚約者を見つけたから飛びかかった、足に噛みつく。

でも、アイツより小さな僕が敵うはずもなく。


「邪魔だ!」


僕は掴まれて、吹っ飛ばされた。邸の外壁にぶつかり、思わず大きな叫び声を上げる。


「うるさい!」


アイツに胸を踏みつけられて、息ができない。


すると、僕の叫び声を聞き付けて、邸の窓が明るくなり始めた。

使用人達が何事かと庭に出てきた。


「くそっ!」


慌ててアイツは逃げようとするが、力を振り絞り、もう一度両手で足にしがみついて噛みついた。


そこへ「誰だ!」と、声が聞こえアイツは使用人達に囲まれた。


叩きつけられて、踏まれて身体中が痛い。

間も無く、僕の喉はヒューヒューと鳴り始めた。

寒くなって、震え始める。


ボロボロの僕を見て、泣きながらセアラが抱き締めてくれた。


セアラ、ぽかぽか……助けてくれた時みたいに温かいな。


でも、寒くて寒くて……僕はついに天に召された。



◆ ◆ ◆


セアラは動かなくなったノワールを肩にかけたショールで優しく包み込む。

小さな猫は満足そうな笑みを浮かべてるように見えた。


「神様、またノワールに会えますように……」


夜空を見上げると、星がひとつ瞬き、流れていった。


◆ ◆ ◆



僕は、ぽかぽかの海を、いい気持ちで漂っていた。

でも、また寒くなったからセアラを呼んだ。

そうしたらふわりと温かくなったんだ。

目をそっと開けると、優しく笑う女の人がいた。


「見て、目を開けたわ。ようこそ私の愛しい子」


この人!

セアラだ!!

大人になってるけど、セアラの匂いがする。


「オギャア」


えっ!?

赤ちゃん?え、どこにいるの?


「オギャアオギャア」


これ、人間の赤ちゃんの声。僕から聞こえる……。


「オギャアー」


なんだか自分のからだの感覚がわからなくて、口の近くにあったのを食べてみた

うわあああ!

これ僕の手!?

毛がなくて、ふにふにしてるよ。

もしかして、人の手?


セアラ……僕、人なの?


「なに!セアラ、ノワールが目を開けたのか?」


「ええ、みてほら。可愛いでしょう」


男の人がにこにこと僕を見ている。


「ノワール、お父様だよ。セアラ、決めた。この子は、嫁に出さないからな!」


「貴方ったら、気が早いわ。ねえ、ノワール」


あ、あれ?

ぼく、僕……女の子だったの?


「ノワールは……黒髪に緑の目ね」


「黒髪は君とそっくりだ、目の色は誰に似たんだろうね」


男の人、僕のお父様はそう言ってくれた。


「もう仕事の時間だ。セアラ、可愛い娘の出産お疲れ様。ゆっくり休むんだよ」


お父様は、セアラにキスをしていなくなった。


「ふふ、ノワールは猫のノワールと色が同じね。生まれ変わりかしら?」


うん!

僕、生まれ変わったんだ。

セアラの側にこれからずっといるからね。


大好きだよ、ママ!


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