コマンド?
上司の説教を聞きながら、僕は上司のコマンド欄を見つめている。現在、上司の選択しているコマンドは「うさをはらす」だ。さっさと「しごとにもどる」を選んでほしい。
僕の名前は、タイジ。龍尾タイジ。何故だか、僕は人の行動がRPGのコマンド欄のように見えるのだ。
僕は少し斜め上を見る。現在、僕のコマンド欄は「たえる」しかあらわれていない。もう少し、「たえる」しかないようだ。
上司との戦闘を終えて、僕はデスクに戻った。「長かったな」同僚の鈴木が慰めの言葉をかける。
僕は、彼の選択しているコマンド「かりる」を見て「金は貸さないぞ。こないだの5000円を返してからだ」と応えた。鈴木は苦笑いして、「相変わらずお前は勘が良いな」と踵を返した。僕のこの能力は、まあまあ役に立っている。
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「ねえ、タイジくん。私達付き合ってそろそろ3年だよね」
デートの終盤、ディナーのテーブルで向かいに座って彼女のローラを前に僕の目は泳いでいる。
彼女のコマンドカーソルが「わかれる」と「まちつづける」でウロウロしているからだ。
僕は覚悟を決めて、自身のコマンドを選ぶ。選択したコマンドは「わたす」だ。 僕はローラに指輪を渡し「結婚しよう。ローラ」と告げた。
ローラのコマンド欄から「わかれる」も「まちつづける」も消えた。
ローラのコマンド欄は「はい♥」のみとなった。




