死神はピンとこない
皆さんどうも!Yukiです。
今回は短編です。
私の作った詩(?)を元にして作った作品です。
気に入ってもらえるとうれしいです。
それに、1500字以内ととても少ない文字数に私の着想を混ぜました。
それでは本編を
「「どうぞ!」」
人は生まれながらに不完全で
死に行くひとは未完成で
なのに
皆満足そうにこの世を旅立つ
思い残すことなんてないように微笑んでいる
後悔はないのだろうか?
死ぬ間際
大切な人々が周りに居た人は幸せそうで
財産にだけ溢れた人はどこか寂しそうで
結局
人は人が
一番大事なのではないか
俺にはわからない
死神の俺にはーー命を奪うものには
◇◇◇
この人が幸せな人生を送ってきたのか?
そんなこと、死神には関係ない。
毎日渡されるリストのとおりに魂を解放する。
人間は体と魂が別々になるのを「死」と、呼んでいる。だが、我々は「魂の解放」と呼んでいる。
認識の違いというやつだろうか。
理解する努力はするものの、死神の俺にはピンとこない。
◇◇◇
今日もリスト通りに魂を解放していると、変わった人がいた。
死ぬ前とは思えないような、嬉しそうなおじいさんである。
「おじいちゃん、元気になってまた遊ぼうよ。」
「お父さん早く元気になってね。」
「お義父さん、一日でも早く元気になること、心よりお祈りしております。」
おじいさんは小さく、それでいて力強く頷いた。
この家族が帰るまでは魂を解放するのは待つとしよう。
残業になるかもしれない。
昇給が遠退くな……でも、俺は空気を読めるからな。ちゃんと待つ。
家族が帰ったあと、いつもどおり魂を解放した。
一ついつもと違うことといえば、少し話をした。
「おじいさん、今死んだけど幸せかい?」
「ああ、死ぬ前に大切な人達に囲まれたからな。」
「じゃあ、心残りはないのか?」
「無いといえば嘘になるな。」
やっぱり、このおじいさんも周りと変らない。
生前、死ぬ前に笑っていたので興味を持ったが、もっと生きたかったなら誰とも変らない。
「やっぱり、1人残された家族が心配じゃな。悲しみに暮れず、楽しく生きてほしい。」
「そうか、やっぱりな……って、え?」
残された家族の心配をするのか、自分のことより優先しているだと?
バカな、そんな人が居たなんて。
魂を解放する職について三百年、はじめの頃はいると信じていたが一度も合わなかった存在。
自分より先に他人の心配をする人。尊敬に値する人。
面白い、おじいさんの過去が知りたくなった。
「おじいさん、生前のことを俺に教えてはくれないか?」
「ああ、構わんよ。」
◇◇◇
おじいさんと今までに会った人の違うところは、「愛」だ。
お国のためだと戦争に駆り出され、終戦だと帰ってくれば町は荒れ果て、妻は娘を守って空襲に焼かれた。
そんな残された娘を大事に大事に育ててきた。
妻に助けられた娘の命はもう、娘だけのものではないから。妻の想いを蔑ろにしたくないから。
そんな想いが、愛が、今までに合った人との決定的な差だ。
そっか、そっか……
もしかすると、愛で人は変り、救われるのかもしれない。
◇◇◇
こうして今日も死神は人々の魂を解放を解放しながら興味の持った人の話を聞く。
そして人を、感情を。学び、知って行く。
最初は理由がピンとこなくとも、人生を見ればわかるから。
◇◇◇
おじいさんの話をついつい聞いたせいで残業だ。
あと三十人もできるかよ……あれ?
面白そうな人がまだ、リストに載ってるな。頑張るか、話を聞くために。
本編はどうでしたか?
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それではまた別の作品で!