Upside−down 南に座る?
あら、反対だったわ。
ごめんなさい。
今日ね、嬉しいことがあったの。
彼が、意思を持ったのよ。
なんでなのかしら。
今までは、迷路の中にいたみたいで、迷走しているみたいだった。
大学生の彼の至福の時間と言ったら、スタバに言って、本を読むのこと。
ミステリーが凄く好きで。
一番最初に読んだのが、綾辻行人先生の迷路館の殺人。
とても面白かったって言ってたわ。
覚えてるの?
あら、そう。
それはよかったわ。
あなたは時に、予定を変更してまで、小説を書いているけれど、わたしは、上手くいくと、信じているから。
今は、お昼なのね、今日はすき家に行って、牛丼を食べたわ。
彼も好きなんだけれど、高菜明太マヨ牛丼が好き。
へえ、今のあなたの十八番は、高菜炒飯なのね。
わたしにフレンチを作ってくれたあの記憶はなんだったのかしら。
幻影?
夢?
米津玄師さんの歌詞に度々登場する。
夢から覚めても夢って歌詞があるの。
彼に言われたわ。
寝ても、現実だったって。
どういうこと?
とはなったけれど、そういうことよね。
そこには誰がいたの?
って訊いたのね。
そしたら、私がいた。
って言うから、私のことを考えていたのね。
と思って、少し嬉しいわ。
彼ね、よく『なくしもの』をするのね。
でも、自分は見失わないで。
あなたは、骸のようだった。
私が声をかけても、何も答えずに。
ただ、歩いて、ただ、生きていた。
待つの?
待てるの?
何年待てるの?
そう聞いたら、あなたはなんて答えるのかしら。
1日も待てないっていうのかしら。
それとも、一ヶ月待つのかしら。
私が明日あなたに会えたら、なんでもする
約束よ。
大人になっても
忘れないでね。