幕間
やあーやあー親愛なる読者諸君、元気かな♪
ちょっとぶりの番外、改めての幕間。
お待ちかねのシュエちゃん視点だぜー☆
さて、暇つぶしにパソコンをガタガタとノリを文字にし幕間にしただけけれども。一応の幕間だ、幕間らしく語ろうじゃないか。
ゲームのセーブデータも毎日リセットされる現状、大好きなRPGが実質ダメになった今。
私の趣味はもはや音楽と古いアニメもしくは映画観賞、あと漫画と小説、それとチョコレート菓子くらいだ。
ん?結構充実している?充実しているとも。
でも、この世界はもう新しいものは増えないんだ。
音楽も映画もいつかは飽きる、同じことが延々に繰り返すだけなら感動も薄れる。
だから、終わりの見えないこの生き地獄を生き抜くために感動をできるだけ残しておきたい。
好きな作品は二週しない、音楽のリピートも抑える。
一話一話を大事に見る、趣味は真剣に楽しむこそだ。
暇つぶしで楽しむのが惜しいぐらいに、だから残れない幕間で暇つぶしをしているのさ。
さてさて、私の話はこれぐらいでだ。
アルバくん改め助手くんは今頃人質くんに改めたのだろうか。
それともあの堂々としたぶりっ子、シャルロットくんに自尊心をくすぐられてらしくもなく格好つけようと頑張って戦おうとしてた頃かな?
あの探偵助手ということで、実力がどんなものなのかを確かめるためとも知らずに張り切っているのだろうか。
もしくはその平凡さが一周回って彼女を驚かせている頃合いかもしれないな。
「ふふ、ふははは~~♪♪」
格好つけようとカッコ悪い姿を晒したアルバ君の姿を予想して、思わず爆笑した。
いやはや、乙女なのにはしたない。
しかしこんな私でも可愛いだろ?なんせ美少女探偵もとい、今は美少女メイドだ。
そう、言わば限定バージョン、魅了も増し増しというもの♪
――む、ちょろくないし、甘いだけだし、いわゆるスイートガールだ馬鹿者め。
おっと、失敬。
アルバ君の事考えてたら、私の事をちょろいなどと考えたであろう事を予測しちゃってね、思わずムッとしたよ。
それにしてもだ、アルバくん。
騙される方が悪いなどという暴論を支持するつもりはないが、流石に今回ばかりはそれに反論はしないよ私は。
というかできない。あんな三文芝居ですらないただの愛嬌にまんまと踊ろされてさ、それもまた君の愛嬌なんだけれど馬鹿の二文字がお似合いだ。
まったく、私以外の女にテレテレしちゃってさ~
安心すべきか、拗ねるべきか。
寂しいような、良かったような。
――いや、止めておこう。
語らずにしまっておきたいものもある。
私はめんどくさいからね、大事なことほど大事にしまいたいのだよ。
というわけでだ、話しは今回の…そうだね、『名もない一日事件』…ってところかな?
たぶんそんな感じ…だね?彼が付けそうなタイトルは。
ごっほん。
話しは今回の『名もない一日事件』に移そう。
依頼人であり犯罪人、シャルロット氏はこの事務所に来た時からすでに馬脚を見せている。
そう、露したのではなく見せているのだ。
最初から隠す気どころかもはや挑発する気だよあれは。
――例えば、あの探偵が私のような小娘だと知っても無反応だった。
あの探偵の噂を知らないならあの探偵なんて奇妙な紹介にぐらい疑問は持つものだろうに。
つまりあの探偵のことを知ってる上に正体がこんな小娘であることも知っている。
なのに知らんぷりだ。
――例えば、知らないグループに強引な勧誘をされたわりによく知っている。
『レッドストーン』がどうとか、銃がどうとか、そんな話題にもなっていないグループの内部事情例え『パンパラパン』のオヤジさんですら知れないだろうに。二日で調べ上げた。
とんだ手腕だね?
それにチンピラ呼ばわりにも怒ったしね。
いやはやまったくもって隠す気がない。
そして、何よりだ。
モテないアルバ君が偶々一回助けただけで美人なお姉さんに惚れこまれるとか雑にも程がる、もう少し筋書きを練って欲しいものだ。ハーレム主人公でもあるまいし。
アルバ君はカッコイイのではなく、面白いのだよ。
頼りがいなんてなく、いじりがいしかないのだよ。
そんな彼のパーソナリティを無視した脚本なんて正に雑の一言だ。
まったくもうだ、なのにだよアルバくん。
ふふ♪♪実に情けない♪
………ふむ、飽きたな。
前言撤回、やはり音楽聞こう。
古びたカセットを古びたプレーヤーに、イヤホンを耳に。
哀愁の音楽に耳を傾け、透き通る歌声を聞き入ってまったりとソファーに横たわる。
いつかの感動のために今をつまらなくしたら本末転倒。
将来の楽しみは今の楽しみがあってこそ。
0時になったらどうせ消えるデータをわざわざ保存する気にも消す気にもなれずパソコンはそのまま開きっぱなし。
そう、何をしても明日は来ない。
明日のない世界で私達は延々に今日を生きるしかない。
なにも残せないまま、なにも進めないまま。
「はあー………」
――急に冷めるなよ…
という声が聞こえた、気のせいだ。
もし居たら当然のようにつっこむであろう人物を思い出して、なんだか更につまらない気分になった。
「早く悪報来ないかなー………」
…………タッ……タッ………………
「~♪」
音楽に隠れた足音に気づき、思わず口元が緩む。
この歩幅、そして重さは――
「Scarborough Fairは何時になっても名曲だ、そうだと思わないかい?オヤジさん。」
「相変わらず全部予想通りかい、嬢ちゃんよ。」
「そうでもないさ、一曲が終わる前に来るとは流石に予想外だ。もっと時間掛かるかと思ったよ。」
「あんまりアルバ坊をいじめてやるなよ。」
「心外だね、私以上にアルバくんを可愛がる奴なんてこの世にいないと自負しているよ。」
なのにそう言うと決まって知り合いたちはみんなアルバくんが可哀想な目で見てくる。いまのオヤジさんみたいに。
まあ、心当たりしかないけれども。
「っおいおい!嬢ちゃん…急に黙って脱ぐなよ。」
流石オヤジさん、顔に似合わず紳士だ。
何か見える前に背を向けた、これがアルバくんだったらまじまじとガン見されるところだったよ。
さて、いよいよ解決編だ。
メイドの時間は終わり、ここからは探偵の時間だ。
テキパキメイド服を脱ぎ去り、黒い下着とガーターベルトをそのままにお気に入りのあの服を着込む。
そして鏡の前にくるっと回って、軽く確認。
うん、やっぱりこれが一番“らしい”。
――ふむ、わざわざ洗ってストーブの横に干すとは君は随分と物好きだねアルバくん?
――シュエはやはりこれが一番似合うからね。
…おっと、またしても口元が緩む。
これは恥ずかしい。
しかしその通りだ、我ながらこれが一番似合う。
学校の制服のような、クラシカルなジャンパースカートのような…そして、まるで19世紀のベイカー街に住む探偵のよう――だろ?
如何にもに如何にもだ。
「さてオヤジさん、私は何処に行けばいいのかな?」
「ここに書いてあるそうだ。」
わーあ、これもまた如何にもな脅迫状だね。
要約:アルバを無事に帰して欲しいなら書いてある場所にこい。か。
概ね予想通りだ…が。
「オヤジさん、それは今日の分かい?」
「アルバのやつ、倒れる時も後生大事にこぼさないようにしてたぜ…」
アルバくん、君は本当に時々私の予想を超えてくるよ。
襲うのなら君の手が塞いでいる時だろうと、今日のは諦めていたのに。
「さて、そういう事なら早めに解決しとかないとだ。」
「余裕たっぷりと食っていかないのかい?」
「好きな物は好きな人と一緒に楽しんだ方が倍楽しいからね♪」
なので持っていくよ。
マシュマロなどを入れた袋は手首に、チョコファウンテンを入れた容器は手のひらで。
そして右手は愛用バットを。
さて、ヒロインを助けに行くとしよう♪