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13 決死の咆哮

 No.517と最後に会ってから五日が過ぎた。今日も同じようにあの長椅子で真赤を待っている。朝の日入りから夜の日暮れまで。


 空の色を眺めながら、赤みがかってきたのを確認する。もう暮れだ。そろそろ帰るかと腰を上げ、部屋に戻る。その日も変わらず、このまま一日が終わる。そう思っていたのに…。


 どがぁあぁあぁああん…っつつ!!!


 激しい爆発音がけたたましく鳴り響いた。その方角はNo.517の住まうシェルター。逃亡は実行されたのだ。


 No.517は俺じゃなく、【家族】を選んだ。それがハッキリと分かった今、胸が絞められる感覚だった。


 ハクは向かう。それでもまだ彼女は俺を選んでくれる。そんな一握りの希望のために、碌に力も入らない足で、約束の場所へと…。


 歩みを続ける間も爆発音と悲鳴は鳴りやまない。果たして悲鳴を上げているのはNo.か研究者か。その中にはNo.517もいるだろう。


 おそらくこのシェルターは俺と同じように計画に使うための重要な個性を持ったNo.が収容されている。そして彼女の口ぶりからするに最年長がNo.517で、舌のNo.が10人。


 家族を守るために自らが囮にでもなっているのだろうか。ふいに空を見上げると夜空一面に散らばる星屑。そして一瞬、眩しい光が遮った。


 それと同時に凄まじい咆哮が鼓膜を破く勢いで脳に伝達される。No.517だ。必然的に分かった。


 シェルターの脱出はそう簡単なことではない。特に計画の要となる個性を持つNo.ならば、ボスも多少の犠牲を良しとしてでも阻止に動く。


 もしかしたら彼女の家族が一人死んだのかもしれない。捕獲が最重要だが逃げられて下手な情報を吐かれるより抹殺の方がまだマシだと考える奴らだ。


 No.517は強い。ボスが送り込んだ精鋭にも完全形態なら打ち勝てるだろう。時間が経つにつれ、激しい攻防戦が段々と小さくなっていく。


 完全に鳴り止まったのはそれから十数分後のことだった。丁度長椅子のある場所にハクが着いたとき、草木が何かに当たる音がしておくから荒い息遣いが聞こえる。


 遠くから見えた彼女の長髪は土埃を被っては汚れ、色白の肌には無数の傷がある。何よりその腹には大きく染み込んだ地が広がっている。


 No.517も此方に気づいたのか、安堵した表情で倒れ落ちる。走って駆けつけるも触れることなどできず、彼女を抱き起こすことなど夢のまた夢だ。


 

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