Episode:1
いや…いやいや、落ち着け俺…ッ!
――すー…っはぁ〜…。
目の前でキャッキャウフフと喜ぶ奴等を余所目に周りを見渡してみる。…コンクリートかこれ?てか、窓!穴あきっぱなしじゃねぇか! これ雨風入りまくりだろ…
そして振り返るとステンドグラスでかーっ!?なにこれどうやって作ったんだよ…!?ちょっとしたアパートくらい高さあんぞ?!ってかこの技術あるなら窓!窓ふさげっ!!
まぁ、兎にも角にも…
「あの、」
俺が呟くとキャッキャウフフしていた鎧の人たち直ぐにだまりこちらに向き直る。そして青い髪の子が
「はい!なんでしょう?! 勇者様!」
「いや…なんか、すげぇ喜んでるとこ悪いんだけど…帰りたいんですが…」
この一言のあと、周りに沈黙が一瞬だけながれ、次の瞬間には
「いやいやいやいや! 何言って…ッ!? は?! いや、ハッ??! ちょっと勇者様!何いってんすか?!」
と鎧の一人が言うと、次々に文句が出始める。
「え?いや、勇者様!お待ち下さい!」「勇者様、そんな…」「嘘だ…勇者様、嘘だと言ってください!」「おっさんのバカ!!」「勇者様!?」「いやいや、そう言うのはやめてください」
いや、おまえ、今明らかに誰か一人悪口言ってたんですけど、おっさんのバカとか言われたんですけど!?
「いや…でもほら、俺にも事情とかあるし」
「…。」
「勇者様!」
青い髪の女の子が言う。
「な、なんだよ」
「勇者様、たいへん申し上げにくいのですが…もとの世界へ戻るには…その、7つの玉を集めなければなりません…」
(嘘ついたーっ!?)※鎧の人たちの声
「え…そうなの?」
「はい…7つの玉を集め、願いを叶えるドラゴンを召喚せねばならず…そう容易なことではないので…」
「えぇ…そんなドラゴンボールみたいな…マジ?」
「マジです。冒険の途中、ピッコロとか出ます」
「いやもうそれドラゴンボールじゃん!? え?! てかドラゴンボール知ってんの!? ここやっぱ現代なの?!」
「いえ、勇者様からしたら異世界です!」
ドラゴンボール知ってんのに?いや、これきな臭くなってきたな…
「とまぁ、そういう事なので、勇者様! とりあえず立ち話もなんですし、王に謁見していただいたあと、私の部屋で詳しい話でもしましょう!」
……どうすっかな…?でもまぁ、ここでなんやかんや言ってても時間の無駄か…
「はぁ〜…わかった、とりあえず行くわ」
俺がそう言うと、女の子はまた笑みを浮かべ
「ありがとうございます!」
「いや、別に…それでええと…」
「あ、私の名前ですか?」
「ああ、そうだな、名前はなんて言うんだ?」
「私の名前は
ドラビエール•フラム•タンルイス•ナビア•ユリ•カマンベール•ナイタリック•クランサイス•ラジック•フロンド•カリアーリ•フェルナンデス•マリジェッタ•クラインツ•タビリジータ•フライヴァルク•シュタリンツ•マオマオ•タイニーベルレンド•サインスレッコ」
名前なっっが!?
「略してサチコとお呼びください」
「サチコ!?」
Episode:1
【サチコ】