プロローグ(第一話)「食人種の勇者と魔王」
今日から新連載です!プロローグから少し暗めですがよろしくおねがいします!
「勇者によって、悪しき魔王が討たれたことをここに宣言する!」
それは国王が民に通達したことだった
俺は魔王を倒した勇者として祀り上げられた
しかし、それは束の間の幻影だった…
〜数日後〜
ドンドンと扉を叩く音がした
「我々はアールス王国第二王国軍、王命に従いアルソールは速やかに出頭せよ」
と扉越しから声が聞こえた
「なんですか?」
と言いながら扉を開けると軍は剣を向けていた
「それは自分に対する敵対行為…と捉えても大丈夫なのですか?」
「そう捉えてもらっても構わない…何故なら…即処刑と言われたのでな」
と隊長らしき人がそう言い
「僕を殺せるとでも?」
「いや、無理だな…率直に言って」
「ならなぜこんな事を?」
「陛下の命には従うしか無いのでな!」
と剣を振りかざす…がその剣は砕け散った
「10歳に向けて剣を振るなど…まあ、良いんですがね?そちらがその気なのであればそれ相応の対応を取らせていただくところですが自分は平穏が一番好きですからね」
と殺気を放ち
「そっちが手を出したわけですし、好きにしていいですよね?」
そして、軍を壊滅させた
「ハー、10歳にこんな事させますかね…ってか10歳を処刑するってどれだけ暴君なんですかね…それに誰が魔王を倒したと…まあ、どうでも良いんですけどね…平穏に暮らせれば…今晩の夕飯の食材も手に入れたことですし…のんびり夕飯の支度でもしますかね…ねえ、魔王様」
「おー、我が親友よ!久しぶりに肉が手に入ったのか?」
「そうだよ、とても上質そうなお肉がね」
「そりゃあ、楽しみだね」
「ちゃんと僕が振る舞ってあげるよ」
そう言い軍人を調理場に連れ込み解体した
「ん〜、今日はステーキでも作ろっかな〜」
「ね〜、アル〜、まだ〜?」
「ちょっと待ってね、コール」
「お腹ペコペコだよ〜」
そして、解体した肉を鉄板で焼き始めた
そして、ある程度焼き目が付き塩と胡椒をかけ完全に焼き目が付くと更に盛り付け、更に赤ワインを取り出し、ソースを作り始める
「うん、ソースはこんな感じかな」
そして、火を止めステーキにソースをかける
「コール〜、できたよ〜」
「わ〜、美味しそうだね〜」
「そうでしょ?そうでしょ?」
「早く食べようよ」
「そうだね、じゃあ…」
「「いただきます」」
そう…これは世間から追放された勇者と世間では死んだことになった魔王のスローライフを描いた物語である…
僕たちは親友だった。だけど、僕は勇者になったようにコールスは魔王になった
そして、あの魔王討伐の日コールスは死んだことになった
その事を知っているのは僕しかいない
「さてと、アールスに宣戦布告でもしようかね」
「だめだよ…これ以上手を血に染めちゃ…」
「そうだね…どこか辺境の村にでも行くとするか」
そう言い、次の日家を収納魔法で片すと、フード付きのローブを被り、森を抜け、別の国へ行くことにした
「あ、街が見えたね」
「身分証は新たに作るしか無いの?…」
「まあ、そうだね…宿を探すのも面倒だけど野宿ってわけにもいかないしね」
そして、門が見え、衛兵に通行料を渡し、冒険者ギルドに向かった
「ようこそ、冒険者ギルドへ、冒険者登録ですね?」
「「はい」」
「ではこちらの紙に必要事項をご記入ください」
と紙を受け取り必要事項を記入し受付嬢に渡した
「はい、確認できました。アルさんにコールさんですね。ではこちらがギルドカードになります。現在はFランクです。依頼をこなしていけば最終的にはUランクになります。現在、Uランクはいません。SSSランクは1名、SSランクは3名、Sランクは5名いらっしゃいます。頑張って上位ランカーを目指してくださいね」
「Fランクでも受けられる依頼は?」
「ここから北にある森での薬草採集やゴブリン討伐くらいですかね」
「分かった。じゃあ、行ってくるか」
「がんばってくださいね」
と冒険者ギルドを後にし、薬草やゴブリンを討伐していた
「アイテムボックスって便利だね」
「そうだね…ハー、お腹空いたね…」
「そういえばまだ何も食べていなかったね…適当になんか狩って食べるか」
「ううん、そっちじゃなくて…」
「ハー、なんでこんな森中で…仕方ない『認識阻害』『時間遅行』」
と僕は服を脱ぎ始め、上裸の状態になると
「ありがと…」
とコールは僕の心臓を掴み取り、そして食べ始めた
「美味しい?」
「うん」
コールは『暴食』とも呼ばれたスキル『心臓成長』というスキルを持っている。このスキルは他人の血肉を食らうことで成長していくスキルである。だが、周期的に魔力を多く含んだ心臓を食べないと飢餓状態になってしまうのである
そして、僕のスキルは『怠惰』とも呼ばれたスキル『不老不死』である。このスキルは絶対に老いる事も死ぬこともないスキルである。そう、このスキルがあるからこそコールが生きられているといっても過言ではない
「それにしても勇者の定義ってなんだろね…」
「人々からしたら魔王を倒すこと…でも、それはエゴだよね。まあ、それが面白おかしいところでもあるんだけどね」
「でも、僕たちの種族を知ったら必ず全世界が敵に回るよね」
「ああ、僕たちは呪われた食人種なのだからね…」
「だけど僕たちの夢は絶対に変わらない」
「食人種のための楽園を作るんだ」
食人種
それは人を食べる人間の事を言う。魔力が高く、身体能力が高い事で知られている。食人種には性別が無い。
これが一般的に知られていることである
だが、食人種にのみにしか『勇者』と『魔王』は発現しないのだ。つまり、国は食人種を滅すことで魔王の被害が無くなると考えているのだ
そしてこれは、食人種達がこの世界に革命をもたらす物語である
第一話はいかがでしたでしょうか?
初っ端から王国軍を○したりして大丈夫なんですかね?