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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た5  作者: 椎家 友妻
第五話 一夜の復活と、新たな出発
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6 本人は失神寸前

 「えと、これは、大丈夫なんですか?」

 由乃さんのその様を見た俺は、(かたわ)らに立つマネージャーの春香さんに声をかける。

それに対して春香さんは、まるで何でもないというような口ぶりでこう返す。

 「大丈夫です。ライブやテレビに出る前は、いつもこんな感じですから」

 「そ、そうですか・・・・・・」

 まあ、由乃さんの普段の言動から考えれば、こうなるのは当然と言えば当然だよな。

人と接する事自体が極度に苦手な彼女が、人前で歌ったり踊ったりするというのは、

地獄で針山を登らされるのに等しい苦行なのかもしれないしな。

なので俺は少しでも由乃さんを(はげ)まそうと、できるだけ明るい声で話しかけた。

 「あ、あの、ライブ、頑張ってね?俺も応援するから」

 それに対する由乃さんの返答はこうだった。

 「だ、だだ、だいじょ、じょうぶです。わ、わた、わたし、しっかりと、うた、うたた、歌います」

 「ホントに大丈夫⁉何か今にも気絶しそうだけど⁉」

 取り乱す俺に、しかし春香さんは至って冷静に口を開く。

 「大丈夫です。私の催眠術にかかれば、どんな人でも羞恥(しゅうち)(しん)や見栄やプライドを捨て去る事ができますから」

 「何か捨ててはいけないものも入ってる気がしますけど⁉本当にそれでいいんですか⁉」

 「いいんです。それに今日のライブでは、秘密兵器も用意してますから」

 「ひ、秘密兵器?何ですそれは?」

 春香さんの言葉に俺は思わず問い返したが、それに対して春香さんは、

「秘密兵器なので、秘密です」

と言い、それ以上は何も教えてくれなかった。

そうこうしているうちに本坂先輩がスタッフルームに顔を出し、

「もうすぐライブ開始の時間になるので、準備をお願いします」

と言って出て行った。

 そして春香さんが前に沢凪荘でやったように、由乃さんに向かって

『綾音、仕事よ』

と言ってパチンと指を鳴らした。

すると、その時だった。



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