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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た5  作者: 椎家 友妻
第三話 彼女の事情と、彼女の素性
28/65

1 はなはだ、良し

 ちゅんちゅん、ちゅんちゅん。

 翌日の朝、窓の外の(すずめ)の鳴き声で俺は目を覚ました。

春香さんは仕事があるという事で、夕べのうちに沢凪荘を後にした。

前日に(すさ)まじい喧嘩をしたとはいえ、やっぱり由乃さんの事は心配らしく、

『どうか由乃の事をよろしくお願いします』

と、深深(ふかぶか)とお辞儀をしていた。

昨日もチラッと春香さんは話してくれたが、

由乃さんの両親は、あらゆる方面で天才的な能力を発揮する双子のお姉さんの方ばかりを可愛がり、

何をやっても不器用な妹の由乃さんには、ほとんど愛情を注いでこなかったとの事。

それが元で由乃さんは極度の引っ込み思案になり、

自分に自信をなくして人と接するのを極端に恐れるようになったそうだ。

天才的な姉が居るというのは俺も同じだが、

俺の場合はその姉に、世界征服を目論(もくろ)む悪の首領(しゅりょう)の手下のようにコキを使われていた。

由乃さんの所はそういう事はなかったのだろうか?

まあ、沢凪荘で一緒に暮していれば、そういう事もおのずと分かってくるんだろう。

 そう思いながら俺は自分の部屋を出て、顔を洗うべく食堂の隣にある洗面所に向かった。

そしてあくびをしながら洗面所の引き戸を開けると、そこに――――――

 

 下着姿の、由乃さんが居た。


 「・・・・・・」

 俺は、声が出なかった。

頭も、真っ白になった。

 人間、驚きの度合いがある一定のラインを突破すると、

かえって何もリアクションができないものだと、

この時身にしみて感じた。

 いや、それはともかく、どうして彼女は下着しか身につけていない状態で、ここに居るんだろう?

確かにここは共同浴場の脱衣所も兼ねているから、

ここで着替えるという事自体は何ら不自然な事じゃあない。

以前も俺はここで、

不可抗力で、

あくまで不可抗力で(大事な所なので二回言いました)、

美鈴の着替えを目撃してしまった事がある。

もちろんその後本人に、きっっっついおしおきをされた。

じゃあ彼女は朝っぱらから風呂に入っていたという事だろうか?

彼女は朝風呂派なんだろうか?

いや、それにしては髪も体も全然濡()れてないし、

寝起きに顔を洗いに来ただけのような様子で、洗面台の前に立っている。

昨日かけていた大きな丸ブチ眼鏡も今はかけていない。

生まれたままの姿に、下着のみをまとった状態である。

その下着の(がら)とか、彼女の体の細かな描写(びょうしゃ)は、プライバシー保護の観点から割愛(かつあい)させていただきます。

ただ、彼女の今の姿を短くまとめて表現すると、こうなる。


 はなはだ、良し



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