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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た5  作者: 椎家 友妻
第二話 縮まらない距離と、新たな入居者
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10 どこさわってるんですか!

 ため息交じりの返事をする俺。

どうやらこの子はなかなかに頑固な性格らしい。

まるで誰かさんみたいだな。

こうなったらある程度実力行使で行くしかないのかもしれない。

そう考えた俺は、山本由乃さんの肩に手をかけて言った。

 「とにかく中に入りましょう。あなたの言い分は沢凪荘の中で聞きますから」

 するとその瞬間彼女は

 「きゃああああっ⁉一体何処を触ってるんですか⁉」

 とキンキン声で悲鳴を上げた。

ちなみに何処を触っているのかと問われれば、俺はこう答える。

 肩だ。

 なので俺はその事を彼女に伝えた。

 「肩だよ!そこまで騒ぐ事かよ⁉

あんたがテコでも動こうとしないのが悪いんだろうか!」

 俺は思わず声を荒げたが、山本由乃さんも負けないくらいの勢いでこう返す。

 「だって嫌なものは嫌なんですもの!

私は何処にも行きたくないし、誰にも会いたくないんです!

もう私の事はほっといてください!」

 そう言ってリュックに顔をうずめ、彼女は肩を震わせて泣き出してしまった。

 ど、どうしよう、泣かせてしまった。

これってやっぱり、俺のせい?

こういう時はどうすればいいんだ?

全く分からない。頭が真っ白になっちまった。

 シクシクと泣き続ける彼女を前に、俺は頭をかきながらその場に立ち尽くす事しかできない。

その姿は何ともマヌケで情けない。

こんな所をあいつに見られたら何て言われるか。と、思ったその時。

 キキィッという自転車のブレーキ音がしたかと思うと、俺の背後から声が聞こえた。

 「稲橋君?そんな所でどうしたの?」



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