表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た5  作者: 椎家 友妻
第二話 縮まらない距離と、新たな入居者
24/65

9 お腹は空いてません

ありえるな。

何なんだよ一体?

そんなに嫌嫌言ってたら話が前に進まないじゃねえか。

こうなりゃもう無理矢理にでも中に連れて行くしかない。

沢凪荘の前で風邪でもひかれたらかなわねぇからな。

 なので俺はズカズカと沢凪荘の庭を抜け、門の外に出た。

すると門柱にしゃがんでもたれかかり、大きな赤のリュックをお腹に抱えた女の子が一人。

肩にかかる黒髪を左右に分けて三つ編みにし、目元には大きくて丸いフチの眼鏡をかけている。

お腹が空いて元気が出ないせいか、ひどく大人しそうな印象を受ける。

まあ彼女も色々辛い目にあっているようなので、それは仕方のない事なのかもしれない。

 そう思ったら、今までの怒りもすっかり消え失せて、俺は下手な愛想笑いを浮かべながら彼女に声をかけた。

 「あの、あなたは、山本由乃さんですよね?」

 「ひっ⁉」

 俺の声にひどく驚いた声を上げ、大きく目を見開いてこちらを見る彼女。

そして警戒心丸出しの物腰で俺に言った。

 「ど、どうして私の名前を知っているんですか?」

 「いや、春香さんに聞いたからですよ。

それよりお腹空いたでしょう?中に入って一緒に晩御飯を食べましょうよ」

 俺はそう言ったが、彼女はリュックを抱える腕にギュッと力を込めてこう返す。

 「いいえ、結構ですっ。私、お腹空いてませんから」

 と彼女が言ったその直後。

 ぐぅ~・・・・・・。

 と、あえぐようなお腹の虫が、彼女の腹部から聞こえて来た。

そんな彼女が次に言った言葉はこれだった。

 「お腹は空いていません!」

 「はぁ・・・・・・」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ