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-24-

駅に近づくにつれ、俺の心臓がバクバクと早鐘を打ち始めた。




ファーストフード店に着いて、入口の前で


2階の窓際の席を見上げようとして、やっぱりやめた。




(ホントにレイアなのかな?)




俺は自動ドアの前で深呼吸をし、思い切って店の中に突入した。


ざわついている店内を通り過ぎ、2階への階段を一歩一歩上がって行くと、


徐々に2階にいる人達の話し声が聞こえてきた。




(窓際……窓際……)




そして、俺が窓際の席に座っている人達に視線を向けると、


カップルが一組と二人組の女の子がいた。




(……ん?)




その二人組は成瀬さんと杉田さんだった。




(あれ?)




(てか、三人組の女の子なんて居ないじゃん。


 席移動したのかな?)




そう思いながらキョロキョロと周りを見回していると、


「あれ? 竹之内くん?」


と、後ろから声を掛けられた。




「竹之内くんも待ち合わせ?」


俺に声を掛けたのは同じクラスの徳永さんだった。




「あ……うん、ちょっと……


 あのさ、三人組の女の子が2階の窓際の席に


 いたはずなんだけど知らない?」




「窓際に座ってた三人組の女の子って……


 あ、もしかして……」


思い当たる事があるのか徳永さんはハッとして、


「沙耶の携帯拾ってくれたのって、竹之内くん?」


と、言った。




(え?)




「それってー……これ?」


俺はカバンからあの白い携帯を出して見せた。




「そうっ! これこれっ!」


徳永さんはそう言うと、俺の手を引き


成瀬さんと杉田さんが座っている席に連れて行った。




(……て、事はー、成瀬さんがレイア?)










「あのさ……成瀬さん、その待受に写ってるキャラってー……


 もしかして、成瀬さんのキャラクター?」


俺は携帯を成瀬さんに返した後、思い切って聞いてみた。




「あ、うん……」


成瀬さんは少し恥ずかしそうに俯きながら頷いた。




(やっぱり……成瀬さんがレイアだったんだ……)




「竹之内くん、このゲーム知ってるの?」


すると、俺の隣に座っている杉田さんが


ポテトを摘みながら言った。




「うん、まぁ……」




(つーか、成瀬さんの携帯の画面に写ってる“Orli”て、


 俺なんだけどな)




でも、いざレイアを目の前にすると


「実は俺がオーリーなんだ」とは言い辛い。




「竹之内くんも、このゲームやってるの?」


そして今度は俺の目の前に座っているレイア……


もといもとい、成瀬さんが少し上目遣いで言った。




その視線に俺は思わずドキッとし、


やっと治まった心臓がまた早鐘を打ち始めた。


俺はそれを誤魔化す為にやや慌ててストローを銜え、


コーラを飲みながらコクコクと頷いた。




(成瀬さんよ……そんな瞳で見つめるのは反則だよぉ〜)




「じゃあ、ゲームの中で遭った事あるんじゃない?」


「うんうん、世間は狭いって言うしねー」


杉田さんと徳永さんは冗談っぽく笑いながら言った。




(いや……“遭った事ある”ぐらいどころか、


 同じギルドなんだけどなー)




「あははははははは……どーかなぁー?」


俺は今、間違いなく顔が引き攣っているに違いない。




そして……




徳永さんが核心に触れた。




「ねぇ、竹之内くんのキャラクター名って何?」

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