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-10-

「沙耶、大丈夫?ごめんね、まさか私の代わりに


 出る事になるなんて思わなかったから・・・」


救急テントに絆創膏を貰いに行くと両肘と両膝に


たくさん擦り傷を作っている成瀬さんの姿を見て、


杉田さんが足を引き摺りながら近づいてきた。




「あー、真沙美ちゃん、動かないほうがいいよ。」


成瀬さんは杉田さんが来るとすぐ近くのイスに座らせた。


杉田さんはさっき『クラス対抗リレー』に出た時に


他のクラスの子が転倒したのに巻き込まれて


その時に思いっきり転んで足を捻ったらしい。


それで救急テントでしばらく休んでいたのだ。




「なんか派手にコケてたね。」


杉田さんはそう言うとチームリーダーの青山を筆頭に


傷だらけの俺達五人を見回した。




こんな時、レイアならすぐに治癒魔法で傷を治してくれるのにな・・・。




・・・て、そもそもレイアはゲームの中のキャラなんだし。




「竹之内くん?」


やや妄想に入り気味だった俺をリアルの世界に戻してくれたのは


成瀬さんの声だった。




「え?」


ちょっとびっくりした。




「足、消毒しないと。」


成瀬さんはそう言うと俺の両膝と腕の傷口を


綺麗にウェットティッシュで拭いて「ちょっと沁みるよ。」と、


消毒液で傷を消毒し、絆創膏も貼ってくれた。




「ありがとう。」




「うん。」




「成瀬さんは?もう手当てした?」




「うん、さっき真沙美ちゃんが手伝ってくれたの。」




「そっか。」


成瀬さんの足にはいくつか絆創膏が貼ってあった。




つーか・・・足、細っ。




紺色の短パンからはスラリと白くて細い足が伸びていた。


半そでの体操服の袖口から伸びている腕も細くて白い。




・・・この人はちゃんとご飯を食べているんだろうか?






そして、俺達“ムカデチーム”五人と杉田さん、


それに徳永さんも合流して一緒に教室で弁当を食べることになった。


男子三人の目の前に女子四人が座り、俺の目の前には成瀬さんが座った。




女の子達の弁当箱に目をやると俺達の弁当箱よりも


一回りも二回りも小さい弁当箱だった。


中身だって俺達のはご飯もギュウギュウに詰めてあるけど、


女の子達のご飯は軽く詰めてあったり、


おむすびがチョイチョイと詰められていた。


おかずにしたって俺達のは一つ一つの量が多いけど、


女の子達のは少しずつだ。




これじゃあ、太るわけはないよなぁー。






「みてみてー、コレ、新商品出てたから、


 買ってみたぁー♪」


しかし、そう言って弁当を平らげた直後に杉田さんが出したのは


お菓子の袋だった。




ついさっき、「お腹いっぱぁ〜い。」とか言ってなかったか?




「みんなで食べよー。」




・・・で、結局俺達も一緒に食ったワケだけど。


しかも、成瀬さんまでご機嫌顔で食べていた。




女の子って・・・




不思議だ・・・。






―――午後からの種目は俺が気を抜いているうちに終わった。




後は最後のフォークダンスのみ。




男子と女子が交互に並ぶと、この間の体育の時間とは


違う女子が隣に来た。




あれ?




あ、そうか。


杉田さんが足を挫いてテントで見学してるから、


微妙にずれたのか。




そして、その影響で次のチェンジで相手が成瀬さんに


代わるという時・・・




曲がチェーンジ!


で、回転方向もチェーンジ!




ついさっきまで踊っていた相手ともう一度踊るハメになり、


さらに最悪なことに何度目かのチェンジで大山が俺の相手になった。




「うわーっ、おまえかよーっ。」


「それはこっちのセリフだ、バカ。」


「早くチェンジ来ねぇかなー。」


「俺も同感。」




そんな事を話していると・・・




曲が終わった。




フォークダンス終了・・・。




「・・・。」




「・・・。」


俺と大山は無言で見つめ合い、溜め息をついた。




きっと今、あいつも俺と同じ事を思っているに違いない。




“なんでラストダンスがこいつなんだよっ!?”

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