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1話:日常がひっくり返った日

「朝だぞ、起きろ、起きろ」


ぼくを起こす目覚ましのメッセージがけたたましく叫んでる

まだ眠いのに

でも起きないと学校に遅刻する


眠いのに、代り映えしない今日が始まるだけなのに、なんでわざわざ学校に行かないといけないのだろう…


今ぼくは切実に思うよ、その時のぼくを殴りたいと

その時から平安な日々を遥か後ろに置き去りにして、とんでもない日々が始まったのだから


「今日もいい天気だな。もう学ランじゃ暑いかな

夏用のセーラー服に萌える季節だよね、セーラ服がお似合いの気候だし

エッ、セーラー服。なんで壁にセーラ服が掛かってるんだ」


夕べ寝た時にはセーラ服なんてなかった

それによく見ると、ぼくの部屋がなんか変だ

ぼくの部屋はこんなに少女趣味じゃない


何が起きた

よく見ると家具も、壁紙もぼくの部屋とは思えない少女趣味に変わっている


鏡に映ったぼくの姿に慌てる

うわあ、なんで女物のパジャマを着てるんだ

もしかしてラノベで名高いTSって奴ですか


焦って胸を触ると大きなオッパイ....

なんてことは無く、男のペタンコな胸があった

念のため下も触ってみるがチャンと付いてた


「あせった、でもぼくは男のままで、なんで部屋やパジャマは女物になってるんだ」


心臓を押さえるとドキドキしている

無いと思いながらも女に変わっている恐怖を感じていたんだ


「純、いつまで寝てるの、さっさと起きなさい

貴方は今日からセントフランシス女学院に交換留学生としていくんでしょう

いつもより30分は早く家を出る必要があるって、お姉ちゃんに夕べ言われたでしょう」


「ええっと、今日って4月1日だっけ」


「なに、純ったら何が言いたいの」


「だって、女学院に交換留学って、ぼくは男の子だよ」


「はあ〜、純ったら、つまらない冗談を聞いている暇はないの

さっさと降りてきて食事を食べてね」


母さんは怒って部屋を出て行ってしまった

どうしよう

こんな格好で下に降りたら姉さんから絶対に笑い者にされる


「まだ部屋にいるの。本当に時間が無くなるわよ」


母の追い討ちの言葉に覚悟を決めて食事に向かう

うわ〜、姉さんがいる

ぼくを見て笑うかと思ったがそうでも無いらしい


「純、そのパジャマは貴方には可愛らしすぎるかと思ったのだけど、こうして見ると結構似合ってるわ」


朝から、イヤミかい


「純は今日から私の後輩なんだから、もっと先輩を敬ったら」


返事をしなかったのがやっぱり気に入らない見たい

でも後輩って、姉さんまでがぼくが女子校に行くと思ってるんだ


「もう、純たら、早く食事を終わらせて支度をしなさい

今日は、私が校長室まで貴方を連れて行かないといけないのよ」


「なんで、姉さんが?」


「私が生徒会長だからに決まってるでしょう」


そう言えばそうだった

姉さんは黙っていれば、充分に美人生徒会長の役回りを演じられるほど、昔から日本美人で有名だった

ぼくは何度も先輩からのラブレターをこいつに届けさせられたっけ


「もう、ダメ。本当に時間がないわ」


姉さんはそう言うとぼくの手を引っ張って二階に上がる


「純、さっさと着替える」


姉さんがぼくからパジャマを引き剥がす


「ほら、早くブラ着けて」


そんな事言われても

固まってしまうぼく


「も〜、信じられない

いいわ、私が着せるから」


宣言と共にタンスからブラを出しぼくに着せる


「きょうは、流石に上下お揃いよね」


うわあ、パンツ脱がされて、別のを穿かされる


「みた、見たよね、今」


焦るぼく、平然としている姉さん

いつのまにか、ぼくはセーラー服姿になっている


「さあ、行くわよ。鞄ぐらいさっさと持って」


こうしてぼくはセーラー服姿で家から追い出される

まって、靴、靴履かないと


強引な姉さんに引っ張られドアの外に飛び出してしまうと隣のおばさんと目があう

変態って思われないかな?


「おはよう、今日は姉妹で一緒に通学なのね

姉妹仲が良くて羨ましいわね

家なんか…」


「おはようございます、行ってきまあす」


隣のおばさんの長話は有名なので振り切って走り出す

おばさんにもぼくが女の子に見えてるんだ


「ちょっと、姉さん、待って、スカートで走るなんて無理」


「なあにい、純たら急にお上品ぶって、いつもスカートからパンツ見せながら走ってるじゃない」


いや、スカート履くの今日が初めてだし


「まあ、良いわ。普通に歩いても間に合いそうだから走るのはやめね」


姉さんが走るのをやめてくれて助かったよ

そう言えば姉さんと肩を並べて登校なんて小学生の時ぶりな気がする

横を歩く姉さん

こうやって見ると本当に美人だよな


「姉さんって、本当に美人だよね

なんで、彼氏がいないんだろう」


「はあ、朝からケンカ売ってるわけ?」


ヤバイ、独り言が声に出た


「怒らないでよ。ポイントは前半だから。美人って言ってるでしょう」


「えへへへ、なんだ純って正直じゃん」


簡単の機嫌を直す姉さん、チョロすぎ


「美咲先輩、おはようございます」


「あら、おはよう。由美はいつも元気ね」


「えへへ、私は元気だけが取り柄ですから

ああ、そちらが仰っていた先輩の妹さんですか

いなあ、セーラー服。可愛い

わたし、本当はセーラー服の学校に行きたかったんですよね」


こっちが口を挟む暇も無いスピードでこの人は話し続ける


「ほら純、挨拶は」


「アッ、おはようございます

今日から3ヶ月間、セントフランシス女学院に交換留学生として通う純です」


姉の後輩の由美さんもぼくのセーラー服姿を不思議に思わない

本当にみんなからはぼくは女の子に見られているみたいだ」


「私は、2年の由美だよ。美咲先輩と同じ生徒会で副書記をしてるんだ

でもほんと、美咲先輩が自慢するだけあって純ちゃんって可愛いねえ」


えっと、なんか柔らかいものが胸に当たってるんですが

これはえ、いわゆるオッパイってやつですね

うわ〜。由美さんに抱きつかれてる


「もう、由美ったら。純、ビックリしてるみたいでだけど由美は抱きつき魔で誰にでも抱きつくのよ

まあ、余り気にしないことね」


「由美もいつまでも抱きついていないの

ほら、歩く」


姉さんの言葉で由美さんが離れてくれた

まだ、心臓がドキドキしてる

女の子に抱き付かれるなんて初めての経験だよ


初めての経験にいちいちドキドキしていたら身が持たないとは、この時は分からなかった

でも、直ぐに次のドキドキがくる


満員電車の洗礼だ

押しつぶされそうなぼくを姉さんが守ってくれる

それは嬉しいんだけど、姉さんの顔が目の前にある


今まではガン見なんかしたら殴られたけど。今は気にならないみたい

ガン見どころか、押された拍子に姉さんの頬がぼくの頬に触れる

姉さんのいい匂いに包まれる


ヤバイ、ぼくの分身が自己主張して姉さんに当たる

でも、姉さんには分からないみたい

命拾いをしたな


そんな、満員電車の旅も終わり学校に向けて歩いていると姉さんがプンプンと怒っている

どうやらお尻を触られたらしい

ここの所毎日だと言ってる

どうやら同じ奴にやられているようだ


「姉さん、毎日なの

そんな奴、ぼくが捕まえてやるよ」


「ダメよ純、あんた私よりもか弱いじゃ無い

明日から安全ピンを持って電車に乗ることにしたから私に任せて起きなさい」


流石、姉さん

安全ピンって


「キャア、純、本当に来たんだ」


いきなり腕に抱き付かれる


「あれ、裕子。なんでここにいるの」


ぼくの腕に抱きついて来たのは幼馴染の裕子だ


「なんではないでしょう、見てよこの制服、美咲姉と一緒でしょ」


「へえ〜。裕子もセントフランシス女学院の生徒だったんだ

知らなかったよ」


「そうよ、純たら最近ご無沙汰なんだから

お母さんも純ちゃんに会いたいって煩いんだから

だから、今日は家で純ちゃんのセントフランシス女学院への留学祝いを出汁にした夕食会をやるので絶対来ること

じゃ、私は先に行くね」


言いたい事だけ言って裕子は小走りで先に行ってしまった


「姉さん、どうしよう」


「裕子がああなったら止まらないでしょう。諦めて夕食会に行くことね」


やっぱり、そうなるか


「それより、急ぐわよ

校長先生を待たせるわけにはいかないでしょう」


早足で歩き始める姉

後を追うぼく

女子校での生活が否応なく始まるらしい

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