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塔の賢龍  作者: 鹿の子姫
第2章 エクーナ王国編
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闇夜の殺意

シャズイーニは辺りに目をこらす。

龍の眼は瞳孔を広げれば真っ暗な謁見の間でも十分に明かりを拾える。

シャズイーニの後ろ足の膝にはメイドのモコロがすやすやと寝息をたてている。なぜかとても幸せそうな顔をしていた。


(硬い鱗で覆われたドラゴンの足の上で寝て何がそんなに幸せなんだろうか)


人間にとって、龍をはじめとする魔獣共は人間の畑や村を襲うこともある宿敵だ。

それは王都凱旋のときにも思い知った。


ソーニャの命を奪った憎きローガンの息子が、シャズイーニに石を投げてきたのだ。

辺りは静寂に包まれていたが、陰で人々が『いいぞ』とか『もっとやれ』とか囁いているのが聞こえてしまった。龍の耳はとてもいいのだ。


騎士に連れ出された親子を許したのも、一つ一つ恨みを持ち続けても切りがないと悟ったからだ。


「さてと......」


シャズイーニは目をつぶり、寝たフリをする。ぶどう酒ゼリーのおかげで本当に眠かったが、我慢した。

そしてアオバにエコー魔法でメッセージを飛ばした。





男は影と一体になって息を潜めていた。

大臣のシャウラ・イージャスからの任務を受け、男ともう一人の男は客人を暗殺するために送り出された刺客だった。

今回の男のターゲットは特殊だ。今までは人間相手に仕事をこなしてきたが、今回は龍が相手だ。

男はいつも以上に神経を張り詰める。

火が落とされ、暗闇と静寂が謁見の間を支配している。

普通の人間であれば、まず見えないこの闇でも、魔界の烙印を受けた男には昼間のように辺りを見まわせた。

男は慣れた手つきで手から紫色の短剣を生み出す。

この短剣は魔界の烙印を持つ魔龍会の者にしか生み出すことは出来ない。古の魔法というやつだ。

短剣生成の際に膨大な魔力が魔界から送られてくる。魔界とこの世の橋渡しとなるのがこの烙印だ。


男は大事そうに脇腹にある烙印を撫でた。こうするとどんな任務でも成功する気がしてくる。気休め程度だが、彼のルーティンだ。

暗闇の中、気配を消して龍が寝ているクッションを目指す。

龍の足元にたどり着いた。

そこで想定外のことが起きた。

龍の足元でメイドが一人、寝ていたのである。

このメイドを起こすことなく、一撃で龍を殺さなければならない。

普通の短剣なら不可能だ。

だが、この古の魔法で作られた短剣なら可能だ。

というのも、この短剣には呪いがかけられており、切った相手の傷口から呪いが流れ込む。その呪いはその者の命を食い荒らし、やがて死へと誘う。

男がするべきことはただ一つ。

龍の足に、切られても寝たまま気づかないほど小さな傷をつけるだけだ。

男は眼前にある龍の鱗の間に狙いを定める。そして全神経を集中させる。

そのせいで、男は背後に伸び上がった鎌首に気づかなかった。

何かが男の顔を覆う。

短剣を振り回すが、硬い何かに弾かれて落としてしまった。

もう一度短剣を生成しようとするが、魔力が足りない。いつもなら烙印から魔力が供給されるはずなのに、なぜか魔力を感じない。

訳が分からなくて必死に暴れ回る男はそのまま生暖かい闇へ吸い込まれていった。

そして何か濡れた物がが顔を覆い、息が吸えずに男は気絶した。

時系列を軽く載せておきます。


X年前 東エルフの森消滅

300年前 ヤーゴン死去

10年前 シャズイーニが塔に来る

現在 アオバが塔ファミリーに加わる

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Twitter @kanokohime_book
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