衝突
「この後アオバが塔にやってきたって訳だ。
どうだい? 気は変わったかい?ファシルを大事に思うならお願いだから僕達を裏切らないでくれ」
アオバは沈黙したままだ。
「それとも僕を人喰い龍と恐れるのかい? ああそうさ。僕は人喰い龍で、怒りで我を忘れる危険なやつさ」
シャズイーニは開き直っている。
「いや、そういうのじゃなくて。
シャズイーニは本当にファシルの為を思って言ってくれているんだな。その気持ち、とてもいいと思うよ」
「じゃあ諦め......」
「だが俺は俺のやるべき事をやるだけさ。そしてファシルのためにも、ファシルの魂を解放しようと思う」
シャズイーニの言葉を遮ってアオバは宣告する。
「お前本気で言っているのか!?」
アオバにシャズイーニの熱風ともいえる熱い息がかかる。
「ああ本気だね。
ファシルの魂を抜いて記憶を奪って塔に縛り付けるなんてヤーゴンはとんだイカレ野郎さ。シャズイーニも気づいてんだろ? 記憶を消された空白はファシルを悩ませ続けているって」
シャズイーニは何も言わない。
「とにかく俺はやりたいようにやる。そしてファシルを解放する」
「......どうなっても知らないからな」
シャズイーニが憎々しげに言う。
「これだけは覚えておけよ、人間。一番傷つくのはファシルだ。お前はいい事をしたと思っても、ファシルは悲しむだけだぞ」
シャズイーニはそう言い残すと、天窓を魔法で開け、白み始めた空へ飛び去って行った。
シャズイーニとアオバの初めての本気の喧嘩です。
結局人間とは自分勝手な生き物だな〜と書いてて思いました。




