言わぬが花 第四回 文章の組み立てと生徒会活動
中学校や高等学校には大抵生徒会があります。
生徒会は毎年初めに、生徒総会でその年の目標を決めます。
例えばこういうものです。
『学年や性別に関係なく、みんなが楽しく過ごせる学校を作ろう。』
これをもとに、活動方針を決めます。
『行事やクラスの活動で積極的に協力し合い、仲良くなろう。』
これを実現するステップとして様々な行事があります。
各行事には、生徒会目標をもとに実行委員会が目標を設定します。
体育祭の場合はこんなものになるでしょう。
『クラスや学年、男子女子の垣根を越えて交流しよう。』
これに沿って、体育祭の運営方針が決められます。
『男女混合の競技や他学年と合同チームを組む競技を作り、一緒に練習したり応援し合ったりしよう。』
この目標・方針を元に競技の種類や数や順番、ルールなどを決めていきます。
グラウンドの生徒席の配置も、チームを組むクラス同士を隣にするなどします。
体育祭終了後には、目標がどの程度達成されたか総括を行います。
実は、文章の組み立て方も同じです。
まず、何のために書くか、何を書きたいかを決めます。
執筆の目的やテーマです。
これは生徒会の目標に当たります。
続いて、執筆方針を決めます。
コメディーや悲劇など物語の雰囲気・ジャンル・力を入れることなどをはっきりさせます。
そして、具体的な項目、つまり設定や登場人物やストーリーを作っていきます。
これは生徒会の方針と年間活動計画です。
各章の内容は、物語全体の目的やテーマをもとに、そこに書くべきことを配置します。
起きる事件・登場人物の行動や発言・入れる伏線を考え、どのような雰囲気で書くかを決めます。
副題をつけるとその章の目的がより明確になります。
これは各行事の目標や方針です。
こういう組み立て方の利点は、焦点がはっきりすることです。
その章・場面・事件・記述が何のためにあるのか、きちんと意味が与えられるので、作者の意図が感じられて読者が理解しやすくなります。
逆に、何となくや勢いで書いた場合、目的がはっきりせず、結局何をやりたかったのか分からないということになりかねません。
文章は、伝えたいこと、書きたいことがあるから書くのです。
それをどう表現するか、冷静に見つめて分析し、要点をはっきりさせて、読者が分かりやすいように並べて書いていきます。
分かりにくかったり漠然としている文章は、多くの場合、この過程がなかったり作者が書きたいことを客観視していなかったりするのが原因です。
「これを書きたい!」という思いはとても大切です。それがあるから文章の執筆という手間のかかる作業をしようと思うのです。
しかし、その思いで頭がいっぱいでとにかく早く書きたい見せたいと焦ってしまうと、自己満足で他人には理解しにくいものになってしまうこともあります。
体育祭と同じように、終わった後、「読んでよかった。楽しかった」と言ってもらえるような文章を書きたいものです。