青春?開幕
式は終わり、出席番号順に窓側から座っていった。 親も同席していたせいか、ひとつ後ろの席のやつがやけに機嫌が悪い。 さっそくヤンキーに出会ってしまったか、と現実を見てこの先を悟った気がしたのだが、親も親で注意しようともしない。 やっぱり子の成長は親の責任だなと思い、
「ふっ。」
と嫌味たらしく鼻で笑ってやった。
だからなんだということはないのだが、苛立ったのは確かだ。
さっそくクラスに不満を持ったのだが、たかがまだ一日目。そう思いこれからどんなやつに出会うのか楽しみになってきた。
ホームルームも無事終わり帰ろうと門まで行くと入学式と書いてある看板に並んで写真を撮っている家庭で列をなしていた。 めんどくさいことするな〜と思っていたら案の定、母はこう言った。
「ほら!並ぶよ」
はいはい。知ってました。 年頃の男子ならわかると思うのだが公衆の面前で親と写真を撮るなど恥ずかしい事この上ないのだ。 女子は乗り気で親と写真を撮っているのだが、それをみるとやはり女子はよくわからない。
そんなこんなで写真を撮り、駅に向かう途中に、まさかもう一人同じ中学のやつにあうとは。
しかも小学校から同じで、だいぶ性格に癖があり周りから嫌われていた少し難ありなやつだった。
そいつは、おれに気づき話しかけてきた。
そいつは別におれのようにコミュ障というわけでもなければ普通に女子とも楽しくワイワイやるやつだ。(まぁ、そいつと仲良くする女子もなかなかな変わり者だったが、)
嫌われていることがわかっていても話しかけに行ってどうせ胸糞悪い対応されることがわかっていてもヘコタレないその強すぎる鉄のメンタルを分けて欲しいくらいだ。
あ、ずっとそいつそいつと言っていたがもちろん名前はある。
まぁ、人だもんなそりゃあ今時ペットにもつけるくらいなんだからないわけがない。
今後の出番もどうせないだろうから"そいつ"にしてたけど、まぁ、一応ここは人としての優しさとして名前をだしておこう。(また出るかもしれないし)
その変わり者は「屋負 秀」(やふ ひで)くんだ。
自己紹介もしてやったしもう帰って欲しいものだ。
まぁ、屋負もおれとそんな話すこともないのかイヤホンで音楽を聴いて電車へ親と乗って行った。
非常にありがたいことだ。別段、おれが嫌っているわけではない。まぁ、小学校時代からの周りの空気がそうしたというのが正しい理由だが、得意なタイプでもないし、かといって苦手なタイプなわけでもない。
小5のときにあいつと揉め事を起こして担任に怒られたなんて懐かしいことも思い出したが、それはまぁ、考えたくもないから忘れるとしようか。
あの時期が一番のモテ期だったかもしれない。
とかへんなことを頭で考えていたら最寄り駅までついていたようだ。
今日は慣れない環境で緊張しまくったから余計に疲れた。
さて、明日から早速始まる高校生活。
今のところ不安だらけだが、まぁ、
「うまくやっていこう。」
そう自分に喝を入れて入学式の日は幕を閉じた。