~日常が終わる匂い~
シルと暮らして早3週間が経過した。それなりに家事も出来るようになりつつあるシル。
成長してる姿を、みるとおじさんはなんだか泣けてくる。元々飲み込みは早い方なんだろう。洗濯、掃除、ご飯を炊くのはシルの担当となっている。もちろん、家のことをして貰っている対価は払ってる。簡単な家政婦のバイト感覚でお願いしている感じだ。
お小遣いを貰って何を買おうかと悩んでいるシルを見ると、援交少女(仮)と勘違いしていた自分が恥ずかしくなる。
そんなこんなで、3週間経った訳だが…完璧に我が家に住み着いてるのに慣れてしまった。これで本当に良いのかは分からない。もしかしたら、後々保護者が出てきて面倒なことにもなるかもしれない。シルの銀髪の整った顔、世間知らず、常識知らずな部分を見てみると良いところお嬢様という可能性も捨てきれない。
「なぁ、シル」
「なにー?今、ドラ○エのレベル上げで忙しい」
完璧に我が家の感覚である、お嬢様。
「シルは家に帰らなくていいのか?」
「3週間目にして、初めてその質問が飛んできたねー」
「聞かない方が良いかと思ってたからな」
「帰らなければいけない場所はある。でも、それは家じゃないんだなー。家じゃ」
たまに飛び出す、シルのわけわか発言。どういう意味なのかさっぱり分からん。帰らなければ、行けない場所があるのに帰ろうとしないのはどうしてなのか。俺には分からない。
「帰らないのか?」
「寂しい癖に」
確かに寂しい。寂しいのは確かだが、シルに待ってる人がいる。帰らなければいけないのであれば、俺は全力で応援しようと思ってる。
「それは言わない約束だろ」
「そんなセリフりょうが言っても似合わないかなー。臭い!」
こんな風に帰る場所があっても帰らないシル。とても不思議で、可愛いくもあり、綺麗な女の子。世の中は俺が知らないだけで、不思議なことが沢山あるんだろうな。
3週間も一緒に居れば、なんだかんだお互いのことを理解はしていく。性格的なものも、意外と分かってくるものだ。シルはズボラに見えて、意外と綺麗好きだ。ゲームをする時はコントローラーがベトベトにならないように、割り箸を使ってポテチを貪る。最初から我慢しろと言いたい所だが、できないのだろう。
寝る前には必ず一緒に歯磨きをするが、必ず俺と一緒に終わらすようにする。どれくらいがベストなタイミングなのか分からないせいか、俺に合わせたいと思っているのかどちらにせよ可愛らしい所も多々ある子なんだ。
なんとなくだが、もうそんなにシルとの時間は長くないような気がする。シルも言ってたように、シルにはシルの帰らなければ行けない場所があるのだから。
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彼は不思議な存在。
彼と会うために、私はここにいる。
この世界は、私の世界とは違い。文明が進んで、とても幸せそう。平和で争いもなく、人は日々の貧困に苦しんでない。
そんな彼を手引きしなければいけないと思うと、少し心苦しい。
だって、彼はとても良い人。知ってるけど。美味しいご飯を買ってくれて食べさせてくれる。甘えさせてくれる。それがどれだけ幸せなのかー彼は分かってない。最後は私じゃなく、彼が決めることー。
この生活がまだまだ続けばいいのにー。でも、そんなに時間も残されてない。私はそんなに長くはいられないから。そろそろ、決断を下さなければ。
あー、でも、その前に焼肉食べに行こう。だって、彼からお小遣いもらったから。これは彼が毎日頑張って、汗水垂らして稼いだお金。
そうだ。明日は帰ってきたらこのお金で焼肉食べに行こう。優しい彼の笑顔を見て、美味しい美味しい焼肉を食べようー。これで全員ハッピー、シルちゃんもハッピーなのだ。
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