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異世界への手引き人  作者: kenken
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~日常~

 シルと出会って1週間。彼女は今元気にしてるだろうか?

 あの日あったことは夢だったんだろうか?


 なんて、いう気持ちになることもなく、我が家のボスのようにドンと構えていらっしゃる。会った次の日の朝、いつまでも居ても大丈夫と伝えた。確かに伝えた。家出少女みたいな子は、家を転々として、風のように去っていくと勝手に思っていた。

 実際の所は、そんなことはない。帰ってきたら、寝転びながら漫画を読んでおり、ポテチまで食べているという始末。家に帰ったら誰も居ないと思っていたから、帰った時に居てくれて少し嬉しいと感じ優しくしたのがいけなかった。その夜に、ちょっと豪勢に焼肉でも食べに行こうと誘い食べ。一緒に寝て起きて、お昼代を渡し、夜はどこかに食べに行く。

このサイクルを当然と受け入れたのか、俺にお昼代をせびってくるようになり。帰りに外食ではなく、コンビニ弁当を買って帰れば文句を言う。


「おい!甘えるな!」

「なになに?怒ったら血圧上がるじゃん。落ち着きなって」


 そう。この落ち着きぶり。ここってもしかしたら、俺の家ではないのかもって錯覚させられてしまいそうな勢い。


「家出してるのは良い、援交少女(仮)なのも良い、学校に行く行かないは自由だ。それも良い。だがな、働かないもの食うべからずだ」

「その通り。りょうは良いこと言うね」


 おいおい、この娘さん。家主に対して喧嘩を売っていらしゃる。


「とりあえずだ!動け!このままじゃ、デブ一直線だぞ。俺が居ない間、シルは何してるんだ?今まで、突っ込んだらダメだと思い聞かなかったが」

「寝てる。漫画を読む。ゲームをする。お菓子食べる。コンビニ行って立ち読みして、アイス買う」


 うん。この子、ダメ人間な部類のやつね。なんでだろうな。俺、ダメなペット拾ってきた感じがする。最初はドキドキして、可愛い女の子が家にいるだけで良いと思ったが…美人は3日であきるっていうのは正しいのかも知れん。


「働きに出ろ。とかそんなことは別に言わない。とりあえずだ。家のことを少しでもやるように頑張ってくれ。家事くらい少しは出来るだろう?」

「ちっちっちっ。シル様は何も出来んよ。やらせたら大変なことになるから。優しく接してね」


 はぁ。これは教育が必要だな。拾ってしまった手前、しっかり育てなければいけない。あぁ、俺なんか間違ったな。間違いない。これは事故物件だ。


「明日は俺休みだからな。とりあえず街にシルの買い物に出掛けて、夕食はとりあえず一緒に作る。朝は、洗濯をして、掃除もする。いいな?」

「異議あり!それは些か予定を詰め込み過ぎてるよー。そんなハードなトレーニングメニューこなせない。一つに絞って」


 甘え。これほどまでかというくらい、甘えている。俺が甘やかしたから、きっと付け上がってるんだろう。明日は厳しく行かないといけないな。


「ダメだ。これくらい出来るようになれ。俺の家でいつまでも、過ごせるわけじゃない。いつか出て行く時の為にも、ある程度のことは出来るようにならないといけないだろう」

「うーん。まぁ、確かにいつまでもいる訳じゃないけどさー。本当、覚えても意味ないんだって。面倒だよー」


 知らん。明日は引っ張ってでも連れて行ってやる。


 朝8時。いつもよりは少し遅めの朝。隣では幸せそうにお休みしてる、シル様の姿。寝相も良く、整った顔をしている美少女だ。他人から見たら、隣でこんなに可愛い子が寝てるというだけで幸せを感じなければいけないと思われるだろう。俺もそう思う。しかし、このままではこの子の将来の為にもならない。心を鬼にしてでも、家事のスキルくらいは覚えるべきだ。


「おい。シル。起きろ!朝だぞ」

「ん?ごめん。太陽の光に弱いからまだ寝かせて」


 吸血鬼みたいなこと言いやがって。夜まで動かないつもりか。そんな言葉は無視して、布団を剥ぎ取り、布団から出す。夏前ということもあり、外は暑そうだがクーラーという文明の利器のおかげで部屋は涼しい。布団を奪い取ろうとする、シルを無視してとりあえず布団を畳むこととしよう。


「よし。覚悟は出来てるな?」

「残念!私は覚悟出来てない」

「お前の覚悟はどうでもいい。今日は1日色々動くからな。強制だ」


 朝、トーストを食べ。掃除を教え、洗濯を教え、色々と苦労はあったもののシルはなんとかメニューをこなしていく。本当に嫌であれば、逃げて良いものの、なんとか頑張ってる姿を見ると応援したくなるものだ。悪い子ではないんだろうな。良い風に捉えるなら、自分に素直で真っ直ぐな性格と言える。


「りょうー疲れた。死ぬ。これはヤバイよ。地獄。こんな労働、今までしたことないからー」

「次はシルに必要なもん買いに行くか。下着に服。コンビニで下着は2着ほど買ったけど、コンビニのは嫌だろ。俺は良くわからんから、その辺は自分で買えよ。シャンプーとかリンス、歯ブラシはもう買ってるから…とりあえず衣類かな」

「よく分からないー。そんなん買ったことないしー」

「お前、歯ブラシもしたことないとか言ってたけど本当か?うーん…困ったときのユニ○ロさんだな」


 街に出かけて、とりあえず困った時のユニ○ロさんで衣類を買う。サイズがーとかあったが、知らん。その辺は店員に聞くように言ったが大丈夫だったんだろうか。

 シルは抜けてることが多すぎる上に、余りにも世間知らずだ。髪の色も普通の人とは違いすぎる。一体どこから来たのやら。


「りょうー今日は肉がいい」


 帰りのスーパーで甘えてくるシル。頑張ったわけだから、少しくらいご褒美があってもいいだろう。今日は家で簡単に焼肉でも焼くか。ご飯の炊き方はマスターして貰うとしよう。


「今日は頑張ったな」


 一緒の布団に入り、シルに今日頑張ったことを伝える。厳しいだけでは人は成長しない。五十六さんも、褒めてやらねば人は動かないと言ってた。その通りだ。


「まぁね。もっと褒めてくれてもいいんだけどな。あ、今日変なこととかしてきても出来ないから。疲れてるし」


 こいつ。本当良い度胸してるよ。色々大変で、世間知らず、怠惰なシルに振り回されているものの俺はどうしてか楽しいと感じてる。ダメな部分は直していくけどな。

 1人で暮らして、家族は他界してしまった俺にはこの生活が少し温かいんだろうな。照れ臭いから言わないが、シルが望めば、別にずっと居てもいいんだけどな。援交少女(仮)に、期待し過ぎてしまって、どこかに行ってしまっても寂しくならないようにしないとな。踏み込んでしまったら、きっと悲しくならだろうから。


「明日は俺仕事だから、帰るまでに教えた通りご飯は炊いて置くんだぞ」

「イエッサー」


 なんだかな。まぁ、シルらしい。

もう少しプロローグ続きます(>_<)

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