コントラクトがエスタブリッシュ(笑)
翌日の午後、上森と斯波はシゲルから届いて来た書類を確認していた。
「うん、大丈夫ですね。必要な事項は記入されています。斯波ちゃん入金は見ました?」
「ええ、大丈夫、投資の方もリコさんの学費の方も振り込まれてます」
「フム、結構迅速ですね。それではこれで両方の案件ともに契約は成立ですね。当社の支出分も全額回収、と…」
「10万円多いですけどね」
「ま、収入印紙代とかレストランの食事代とか、そんなとこで10万円くらいいただいてもバチは当たらないでしょう」
「確かに、その辺は元手がかかってますからね」
「ではフィジカル・ロック・ソリューションズの方からはプレゼントのデバイスをお送りしましょう。ちょっとサイズが大きいですけどね、最新型の『Secure P-Lock System』は...」
「上森さん、ディヴァイスって言わないと三枝さんに怒られます」
「ハハハ! そうだった! コダワリのある方々からクレームが来ますね!」
「そうそう。あとリコさんの方は通常の手順を踏んで声優養成所の方に入学していただく予定です。あとでスタッフの方から連絡入れてもらって面接です」
「リコさんは昨日会いましたけど、先日のファミレスでの音声よりはずっとマトモでしたよ。結構、気を使ったのかもと思い、好印象でした」
「ふ〜ん、いい声優さんに育つと良いですよね」
「そうですね。シゲル君の方は関わっていると気持ちが殺伐として来ますから、リコさんには頑張ってもらいたいものです」
「あとは、最後の仕上げが上手く行くかどうかですね」
「そう。それに失敗すると、資金は回収できても M-175 案件の解決ができませんから... そんな事になったら、私、社長に怒られちゃいますよ」
「確かに...」
「さあ、全部の素材が上手いタイミングでつながるかどうか、期待しましょう!」




