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第二章 4

      4


 四人だけの食事を終えると、主はさっさと食堂をでていった。ロッテは、午前中にやらなくてはいけない勉強があるとのことで、自室に引き上げた。昼食前には終わるから、終わったらおはなししようとのことだった。

 ネイリンは食堂をで、プライの朝食と薬をもらいに厨房に向かった。厨房では、もう用意が済んでいて、すぐに渡してもらえた。

 プライの部屋に行こうと大広間を通ると、ラパルクが所在なげにビリヤードの球をもてあそんでいた。勝手にさわらない方がいい、と注意しようと思ったが、放っておくことにした。あんなやつ、怒られるなら、怒られればいいのだ。

 階上に上がり、プライの部屋をノックする。返事はない。

 部屋に入ると、先ほどと同じ体勢で、プライが寝ている。

「プライ。朝ごはん持ってきたよ」ナイトテーブルに盆を置き、ネイリンはプライを揺り動かした。

 二、三度揺り動かして、やっとプライが目を覚ました。しかしまぶたもほとんど開いてはおらず、目に生気も感じられない。

「どう、調子は?」

 ネイリンがきくと、プライは力なく微笑もうと、ほほを動かした。あまりよくなってはいないようだ。ちゃんと食事もとってるし、薬も飲んでるのに――。

「だいぶ顔色がいいわ。よくなってるのね」思っていることと反対のことが口からでた。「さ、またご飯食べてお薬飲んでね。いっぱい食べて、お薬飲んで、いっぱい寝てれば元気になるから。ま、ちょっとは太るかもしれないけど」

 ネイリンの顔から、自然と笑みがこぼれた。不安なのに、どうしてこんな表情が自然とでるのだろう。

 プライが弱々しくうなづき、身を起こした。また押し込むように食事をして、薬を飲み、すぐに眠った。ネイリンのいうとおり、彼は動いている。ネイリンのいうことを聞いていればよくなると信じているからなのか、身体がそういった行動を欲しているのか。頭のいいプライだが、今ばかりは意識的に、そうするのが最善だから、という理由でやっているわけではなさそうだった。

 考える力など、今の彼にはないだろう。

 ネイリンは、プライの手を布団に入れてやってから、床に座った。上半身を、彼の胸の横辺りにのせた。その体勢のまま、目をつぶる。プライの身体の直接上ではないが、それでも彼の鼓動がわずかに感じられて、すごくほっとした。

 一瞬だけだが、ネイリンはその体勢のまま眠った。


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