第一章 9
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前菜をあらかた片付けたあたりから、また会話が始まった。
口火を切ったのはルイーザで、内容はネイリンたちの出身村についての質問だった。
ロッテの立場に関係する会話が不自然に途切れていたが、そのことには触れずに、その話はなかったことにしよう、という彼女の意図が見えた。
そのことに、ガードナー家のものは依存がなかったらしい。ジーナスを筆頭に、この話に乗っかってきた。ネイリンも、その雰囲気に乗っかって、愛想よく村の紹介などをした。
話は村のことから物資流通の話へ。そして、この街の経済の話になっていった。村にいるころにも感じていたことだが、どうも最近は経済の動きが活発らしく、チャンスではあるが予断を許さない状況だとのことだ。
そのころになると、ジーナスは黙りがちで、しゃべっているのは、主にルイーザ、そして、彼女の質問に答える形でおじさんやおじいさんがしゃべるという感じだった。
ネイリンやラパルクには口をはさめる話題じゃなかったので、客ではあるが蚊帳の外という、またも居心地のわるいものになった。
途中からネイリンは、もう料理だけに専念しよう、と決め、主に咀嚼することに口を使った。
――それにしても美味しいな。
先ほどから感じていたことではあるが、かなり料理のレベルは高かった。これらは、カーテが作っているのだろうか。
後片付けを手伝おうと思っていたが、そのどさくさで、調理を教えてもらおうかな。
街から、国の経済、ひいては政治の話になっている大人たちをよそに、ネイリンはそんなことを考えていた。