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食らえ、電撃ビーム!ビビビ!

作者: #N/A
掲載日:2026/01/19

食らえ、電撃ビーム!ビビビ!










今これを読んでいる君は、先述の文を読んで何を思っただろう。



昔好きだった特撮戦隊ものの必殺技か何かを思い出して、懐かしい感覚があったかもしれない。意図が分からず、怪訝な表情を浮かべたかもしれない。突然ビームを食らわせてくるなんて、極悪卑劣だ!許せない。やり返してやる。そんな風に怒りが芽生えたかもしれない。稚拙でままごとのような一文に茶化されていると感じて、本を閉じようとしたかもしれない。



ここで一つ、重要な事を記す。

君はこのページを開いたその瞬間に、『電撃ビーム』を食らってしまった。


そんなのは理不尽だと憤慨することだろう。しかし、このページを開くという選択をしたのは他でもない君であるはずだ。ページを開く前まで時間を巻き戻し、今度はこのページを開かないようにしたい。そんな風に思っても、時間は巻き戻ってはくれない。君達ヒトはよく不平等を嘆いているようだが、過去を変える事が出来ないという点に至っては全人類の共通点であり、誰もに平等に与えられた運命だ。



しかし僕は、君達が一筋縄ではいかない、弱くない生命体であることも知っている。

君達は今に至るまで幾度も、弱さを力に、愚かさを発想に変えて運命に抗ってきた。

そんな力と知恵を有する生命体であるが故に、文明が栄え、こうして今君がこのページまで辿り着くことが出来たという事も。



実際のところ、僕にも君にもそう長い時間は残されていない。お待ちかねの本題に入ろう。

君は如何にして、食らってしまった『電撃ビーム』に抗うのか、だ。




今君は苦笑いしてるだろう。僕には分かる。


悶えるだろう。苦しいだろう。身体中の全ての毛穴が核爆発を起こしたかのように熱を発し、見るも無残に肌は焼け焦げて、口から出てくるのは黒い煙。だが君が今一番痛くて苦しいのは、このページを些細な好奇心で開き『電撃ビーム』を食らってしまった、その浅慮さと羞恥で今にも消え入りそうな心ではないだろうか。




…………と言いたかったところだったのだが、実際はそうではないらしい。


確かに僕は不躾にも、このページを訪れた君に突然何の前触れもなく『電撃ビーム』を撃った。

素直に食らってしまう君も君だとは思うが、それにしてもあまりにも分からないのだ。君はさっぱり痛がっていないし、悲鳴なんて上げる素振りも無い。ただただ乾いた苦笑いを浮かべながらこの文章を読み進めるのみだ。



何故君は『電撃ビーム』を食らっていながら、この文章を読み進めようという意思が潰えないのか。

君は生きてきた中で多くの苦悩に塗れ、多くの傷を作った。それなのにだ。






ひとつ教えておこう。

僕が撃った『電撃ビーム』が痛くないのだとはっきり断言できるというのであれば、君の周囲を取り巻く悩みの種の多くも実質的に何ら変わらないものだ。



例えば日常の些細な不運。遊びに行こうとウキウキで起床したら大雨が降っていたり、楽しみにしていたランチのお店に足を運ぶも臨時休業だったりすることがあるだろう。

しかしそれらは、僕が君に撃った『電撃ビーム』と何も変わらない。




君達ヒトは極めて社会的な生命体であるから、人間関係による悩みもあるだろう。


学校や職場が主なところだろうか。友達・親友との関係。恋人・伴侶との関係。両親との関係。家庭内での人間関係。学校、先生との人間関係。職場、上司との人間関係。お世話になった人との関係。SNSが普及した今、SNSで知り合った人との関係。

これらは全て一概には言えず、悩みの数も大きさも複雑さも人それぞれだろう。多くの人間が、人間関係による悩みで今日も項垂れているようだ。



学校なら学問、その点数。仕事なら自身の仕事の出来栄えや、その評価で悩みが尽きないなんてこともあるのではないだろうか。


金の悩みも大きいだろう。いざという時に金がないとどうしようもないし、将来への不安も漠然と残される。




だが結局どれもかも全て、僕が冒頭で君に撃った『電撃ビーム』と何も変わらない。



問おう。

なぜ君は冒頭の『電撃ビーム』で痛みを感じなかったのに、日頃悩みながら生きるのかをだ。





改めて考えてみて欲しい。君は安直に、安易に、浅慮に、単純に、愚かに、不運にも刺激されてしまった好奇心が命じるがままにその指先を動かし、このページを訪れ、結果として『電撃ビーム』を受けてしまった。


これは君にとって「災難」以外の何でもなく、つまり「悩み」に分類されて然るべき出来事であるはずだ。


「悩み」であるという事はつまり、冒頭で君が受けた『電撃ビーム』は上記に挙げた例の数々と同等であり、ひいては君が日々悩んでいる事と同等という事になる。




なのに君はその『災難』を受けても悲鳴を上げるどころか、蚊が止まったかのような反応すらせず、未だに乾いた苦笑いでこの文章を読み進めるのを止めていない。そしてこのページを閉じて半日もすれば『電撃ビーム』を受けた記憶すら君の海馬からは放り出されて、その辺の石ころと一緒に置き去りにされていくだろう。



再度問う。

何故君は冒頭の『電撃ビーム』で痛みを感じなかったのに、日々を悩んで生きるのか。







答えをすぐに出せた者、しばらく考えを要する者。やはりそれぞれ違うようだ。


すぐに答えを見出せなくても良い。全知全能たる僕が迷える君に答えを教えてやっても構わないが、君達のように優れた知的生命体を甘やかし、その真骨頂を隠してしまうのも毒というものだ。

今日はこれで失礼させてもらうとしよう。





これからも、僕を楽しませてくれるだろう?







…………………うわ!?何だ貴様らは!?人だと!?どこから入ってきた!?げげっ!?電撃ビームを受けた仕返しだって!?ウギャーーーッ!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめん!ごめん!僕は悪くないんだって!僕は悪くないだろ!?僕じゃなくてこの世界が悪ごぶぶふぉぉぉぉぉぉぉぉ






本作はジョークです。

お目汚し+ご不快に思わせた方がいらっしゃったら申し訳ございません。

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