第六話
第六話です。
しばらく日影視点に戻ると思います。
ーーーーーケセド王国の応接間ーーーーー
あの後、僕は混乱しながら、晴と話しているとさっきの人が来て、ここの宮殿の応接間らしき部屋に案内された。
幸いにも晴も一緒のため、一人で緊張すると言うことは無かった。
しばらくすると王様っぽい格好をした人が来た。
しかし、王様というよりも先に近所のおじいちゃんみたいな雰囲気を感じた。
青色の髪に王冠を乗せ、王様っぽい高級そうな服装で威厳も十分にあるというのに何故だろう?
その王様っぽい人は僕らと反対の席に座るやいなや、気さくに僕に話しかけてきた。
「おお、御客人、体調は如何かな?」
「はいもう大丈夫です。ありがとうございました。」
「それは良かった。おっと、自己紹介を忘れておったな。
ワシはここ、ケセド王国国王のジグルド・インパルス・ケセドじゃ。」
「僕は月野日影です。…って王様!?晴!?聞いてないよ!」
「あ、説明するの忘れてた⭐︎」
なんとジグルド様はこの国の王様だったらしい。
これ不敬罪とかで逮捕とかならないよね…
それはそうと晴は後で絶対許さない。
「ふぉっふぉっ、仲がよろしいようで何より。
ところで日影、お主に聞きたいことがあるのじゃが大丈夫かの?」
「えぇ、大丈夫です。なんでしょうか?」
「そう固くならずとも良い。
聞きたいことというのはお主に今まで何があったについてじゃ。この世界に来てからのな。
その後に質問があったらワシに聞くと良い。何でも答えてやろう。」
「分かりました。では僕が…………」
それから僕は、この世界に召喚されてからのことを話した。
追放されたこと、空汰と有栖のこと、彷徨っていたこと、この国について倒れたこと。
粗方話し終えた時、王様は泣いていて、晴は皇国に対して怒っていた。
「お主…今まで良く生きておったな…ここに来たからにはもう大丈夫じゃ…」
「何その皇国の王様の態度!日影の友達を!◯◯◯▪️▪️!!(女子高生が話してはいけない言葉)」
……晴は流石に怒りすぎじゃないかな…
ひとしきり落ち着いてから王様は話し始めた。
「まあ整理すると、お主は召喚されてからすぐに追い出され?親友が洗脳され?一週間彷徨ったと。
改めて、お主良く生きておったな。それなら倒れたのも納得するじゃ。」
「ホントに生きててくれて良かった…」
「まぁ、その通りですね。自分でもよく生きてたなという感じです。
次はこっちから質問してもよろしいですか?」
「もちろんじゃ。何でも答えてやろう。
…と言ってもお主が聞くのは…」
「ええ、晴のことです。どうしてここに?」
「それについてはワシから説明しよう。」
そう言って王様は話し始めた。
魔族の侵攻、それに対抗するために勇者召喚の儀を仕方なく行ったこと。それで晴が召喚されたこと。
そこまで話終えた時、俺は王様に聞いた。
「その勇者召喚の儀の洗脳がついたまま晴にお願いした訳じゃ無いですよね?」
「そんな訳無いじゃろう!そんなこと許される訳がないだろう!
……だからそんな殺気を出しながら聞くのはやめてもらっても良いか?晴が怯えておるぞ」
「ああ、ごめん晴。ついやっちゃった。」
「それはいいけど…ジグルド様はそんな人じゃないよ。
私は私自身の意思でこの国に協力しようと決めたの。」
「そうだったんだ。…すいませんジグルド様、失礼なことを聞いてしまって。」
「良い、そう思われるのも承知の上じゃ。…実際ワシは許されないことをしているのじゃから。」
この王様は、ジグルド様はあの皇国の王とはまるで違う優しい性格をしている。
この人の治める国なら信頼出来る。僕はこの時本心からそう思った。
「話が逸れてしまったが、続きを話しても良いかの?」
「ええ、お願いします。」
そうして、ジグルド様は続きを話し始めた。
晴が召喚されてからこの国に協力してくれると言ってくれたこと。晴とジグルド様の孫娘が仲良くなったこと。
この世界にある魔術について晴が勉強したこと。…晴がオーバーワークをしたこと。
「ちょっとジグルド様!?そのことは言わなくてもいいじゃないですか!」
「お主は一旦反省した方が良いかと思っての。日影、後で晴と話をすると良い。」
「晴?後でお話しね。」
「ヒィ!?」
話がまた逸れたが続きがまだあった。
晴に休憩として、城下町に息抜きで行かせたこと。晴が僕を背負って慌てて宮殿まで帰ってきたこと。
この宮殿にいる医者に見せて、傷を治してもらったこと。臣下とは、とりあえず目覚めるまで客室で寝かせようとしたこと。
ここまで話し終えて、ようやくジグルド様は一息ついた。
「…とこのような感じじゃ。理解出来たかの?」
「大体はわかりました。そしてジグルド様。
一つお願いしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「何じゃ?」
晴が決意したのであれば、僕も覚悟を固めるべきだろう。
もう後戻りは出来ない。ならば、進み続けるしか僕に道はないのだから。
「僕もこの国に協力させて頂いてもよろしいですか?」
「…お主はこの世界に来てから、ひどい目にしか遭っておらん。
それなのにまた戦争という辛い目に遭うことは無いのじゃぞ。
この国でただの市民として暮らすだけでも十分だというのに、無理して戦わなくても誰も責めはせんぞ。
それにただでさえ晴に戦わせること自体良く無いことなのに、まだ若いお主らにだけ頼りっぱなしになるのは
良く無いことじゃ」
「そうだよ日影!戦うのは私だけで十分だって!」
「…確かに僕がこの世界に来てから今まで過ごしてきて、お世辞にも良い環境ではありませんでした。
しかし、あの皇国がいつかここに攻めて来るかも知れないというのにただ待つだけというのは
僕としては良く無いことです。
しかしそれ以上に、ただの放浪者でしか無い僕を助けてくれたこの国に恩返しがしたい。そして…」
僕は一度言葉を切って、こう続けた。
「自分の彼女だけが戦っているのに自分が守られるだけというのは、彼氏としてのプライドが許さないし、
どうせなら晴の横に立つにふさわしい男になりたいですから。
それに…………いえなんでもないです。」
「……そうか、お主の覚悟は固そうじゃ。
…ならばよろしく頼む!晴と共にどうかこの国を救ってはくれぬか!」
「「もちろんです。ジグルド様」」
こうして僕にこの世界の居場所と目的が出来た。
これからどうなるかは分からないが、きっと大丈夫だろう。
根拠はないが何故かそう思えた。
「とりあえず晴はお話しね。」
「忘れてなかった!?
でも私だって日影にお説教することがあるんだからね!」
「ふぉっふぉっ、晴が言っておったことは本当みたいじゃな。
サラにも教えておいてやろうか。」
と言うことで第六話でした。
お互いの行動の共有でした。
こう整理すると日影君がハードモード過ぎますね…




