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色彩の世界  作者: 松永煌
第一章・召喚編 動き出す時
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第四話

第四話です。

ーーーーー晴視点ーーーーー


ーーーーーケセド王国宮殿内ーーーーー


この国に協力することを決めた私は、ジグルド様経由で大臣の方や将軍の方などにも挨拶をしに行った。

話し終えた後の第一声が二人とも「我らのために、そして我らが王のためにありがとうっ…」というのだからジグルド様の慕われようがすごいと言うのが分かった。

国民の人たちにも公表され、皆さんが快く受け入れてくれたのもとても嬉しかった。この国の人たちはとても暖かく、いい人ばかりのようだ。

また、戦うにあたって、先生が就いてくれた。この世界にはどうにも『魔術』や『魔法』と言うものがあるらしいのでまずはそれについて勉強することになった。

先生はジグルド様の孫、つまり皇族の方だったが、ジグルド様に似てとてもフレンドリーで話しやすかった。


「サラ・インパルス・ケセドと言います!これからよろしくお願いします!気軽にサラとお呼びください!」


青い髪をした、どこかジグルド様に似た雰囲気を感じる少女はそい自己紹介をしてきた。

彼女とは色々なことを話せた。この世界に来てから初の友達といってもいいだろう。

ただ、呼び捨てで名前を言うのはまだ気が引けたから、サラちゃんと呼ぶことにした。

魔術についてもわかりやすく教えてくれて、面白いと思えた。



だが、夜はいつも一人だ。毎夜ずっと前の世界に残していった人たちについて考えてしまう。

友達は元気にしてるかなぁとか、パパとママは元気かなぁとか、早く帰れって言われたのに帰ってこなくてどう思っているかなぁとか、様々なことを考えてしまう。

こっちの世界に来てから日記をつけることにした。誰にも読まれたくないから日本語で書くことにした。

ずっと叶わない前のことを想うと、疲れてしまった。


そんな精神的な疲れを隠すために私はこの世界の魔術について勉強し続けることにした。

勉強して、学んで、試して、考えて、また学んで…

だって私はこの国を救わないと、そんなことを考えて日本でのことを忘れたかった。

それでも、私は日本のことを忘れられなかった。


こんな生活では当然身体も疲れた。

初めのうちはしっかり寝れた。

だがそのうち寝れなくなって、半ば気絶するかのように寝るようになった。

6日目の夜、夢を見た。残していった彼のことだった気がする。飛び起きて以降寝れなかった。

当然、サラちゃんにバレた。

そして7日目の今日は強制的に休みにされた。

こんなに休んでいる暇なんて無いのに…と言うとサラちゃんに怒られた。


「晴様はこの6日間勉強しすぎです!もはやオーバーワークと呼んでいいレベルです!

 今日一日中しっかり休んで来て下さい!」


やることも何も残っていなかった私は初めてこの国の街に出てみることにした。

元の世界でも比較的方向に強かった私は初めての街でも迷わずに移動できた。

方向といえば、彼の方向音痴は酷かった。

一緒に出かけると、いつも目的地とは真逆の方向を指差すぐらいだった。

性懲りも無く、元の世界の思い出をなぞりながら歩いていると、人混みが目の前に出来ていた。

なんだか無性に近づきたくなった私は周囲にいたお婆さんに聞いた。


「勇者様、どうされました?」

「すいません。あの人混みってなんですか?」

「ああ、あの人混みね。なんかやけにボロボロな少年がフラフラになりながら歩いているらしくて、

 みんな心配そうにしているんですよ。

 勇者様、あの少年を助けてあげてくれませんか?」

「ありがとうございます。分かりました!ちょっといってきます!」

「頼んだよぉ」


お婆さんの言うこともあって、人混みの方向に足を進めた。周囲の人たちは私の姿を見て、道を譲ってくれた。

そして問題の少年のところにたどり着いた。


「大丈夫ですか?」


そう言って少年の顔を見た途端、目を疑った。

少し癖のある黒髪。きっと笑う姿をたくさん見たことのあるような容姿。

あまりに信じられなくて、頬をつねった。痛い。現実だ。

嘘だ。嘘だ。ウソウソ、うそ、」


思わず声が出てしまった。なんでこの世界に


「日影?日影!」


もうホンモノかどうかも分からなかった。

もはやホンモノかどうかすらどうでも良かった。

この手を離してはならない、そう強くそう思った。

ただひたすらに近づいて、思っていた以上に彼が衰弱していることに気がついた。

口は何か動かしているが、声が出ていない。


「日影!しっかりして日影!」


そう声を掛ける。返事が無い。


「『ヒール』!」


初めての魔術が人命救助のために、ましてや自分の()()に使うだなんて思いもしなかった。

彼の顔色が少しマシになってきた。ここから先は宮殿で専門家に任せた方がいいだろう。

周囲の人たちに一声掛け、私は日影を背負って走り出した。

その足取りはどこか慌てていたが、心なしかとても軽かった。

と言うことで第四話でした。

ようやく顔合わせでした。

詳しい関係性は次回に。次回から日影視点に戻します。

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