番外編・日影くんの今日の散歩
日常回その2です。
説明回兼日影くんのポンコツ回です。
ーーーーーケセド王国・城下町ーーーーー
今日は訓練が休みだ。というか休みにされた。
せっかく新しい戦うスタイルを見つけられそうだったので、休みの日にも訓練をしてたらグラム将軍にバレて、今日の訓練を休みにされた。
そのせいで今日は暇だ。
と言うことで城下町を散歩してみることにした。
目的はこの街のあちこちを見て回ることだ。できるなら食べ歩きなんかもしてみたい。
そんな思いを持って僕はあてもなく歩き始める。目についたところにとりあえず行ってみるのが僕の散歩の流儀だ。
ふと視線を上げると、大きな看板が立っている建物を見つけた。
とりあえず行ってみようとしたところで通りがかったお婆さんから声を掛けられた。
「あっ、この間倒れてた人じゃないの!もう体調は大丈夫?」
「あらら…見られてましたか…
もう体調は大丈夫です!心配してくれてありがとうございます!」
「それは良かったわ〜
勇者様に頼んで良かったわ〜」
「勇者様?って晴のことですか?」
「あら、勇者様のことを知ってるの?
あなたが倒れた時にちょうど来てくれたのよ〜
そういえば勇者様ってもう一人いたんでしたっけ?じゃあ勇者様って言うよりも晴様って読んだ方が良さそうね〜。」
「そ、そうですね…」
そのまま何個かこの街のことについて聞いてみることにした。
突然話しかけたと言うのにお婆さんは親切に対応してくれた。
話をしていると、目の前のお店からお婆さんのお孫さんらしき子供が出てきた。
「おばあちゃん!お買い物終わったよ!
あれ〜おばあちゃん?そっちの人は誰〜?」
「僕かい?ちょっと君のおばあちゃんに色々教えてもらってたんだ。
すいませんおばあさま。色々教えて頂きありがとうございました!」
「全然大丈夫よ〜
そういえばあなたの名前はなんていうの?」
「僕は月野日影です。以後お見知り置きを。
今日はありがとうございました。」
名前だけ告げて僕は歩き出した。
なんだか人が集まってきそうな予感がひしひしと伝わってきたからだ。
そしてついさっき教えてもらった建物。ギルドに向けて歩き出す。…気持ち早めに
「月野日影…どこかで聞いた気がするのだけれど、どこだったっけねぇ…」
「おばあちゃん!さっきの人って男の方の勇者様じゃない?」
「ああ、それで聞き覚えが…
え、さっきの人勇者様!?本当かい!?」
「僕この間見たもん!絶対合ってるよ!」
ほら、騒ぎになってる気がする。
そんなこんなで人混みを避けながらギルドにたどり着いた。
ギルドとは冒険者と呼ばれる人々の仕事の仲介するところだ。
また、冒険者と言っても、基本的には指定されたものの採集だったり、商人の護衛だったりが多いらしい。
まあラノベでよくある設定だ。ただ、魔族の討伐などは国の騎士団でやるらしいのであまり冒険者の出番はないらしい。
ギルドの建物には着いたが、僕はあまり中に入る気は無かった。
そう、あくまで僕は散歩中なのだ。そのついでにこの街の重要な建物の場所を把握してるだけなのだ。
…でもっ…入ってみたい…!
だってギルドとかファンタジーの定番だしよく小説でも出てくるしなんか強そうな人とかいそうだしそれに面白そうだし(早口)
そんな心の葛藤で僕は扉の前で足を止めてしまった。
するとちょうどギルドの扉が開いた。
そして、いかにも冒険者です!と言ったら背格好の男性が出てきた。
動きやすそうな軽装に腰と背中に背負った剣、傷が多く付いている顔からは歴戦の猛者という雰囲気が言われなくても分かる。…この人…強い…!
「おう、そこの坊主。悩んでんなら一度入ってきてみな。
なに、取って食おうって訳じゃねぇんだ。ギルドはおもしれぇとこだぞ?」
…勧誘されたんなら入るしかないよね!(錯乱)
ただ、このまま入るとさっきの街での反応的に大騒ぎになるのは当然だ。
そこで夜の力をちょっと使って僕の顔を『偽装』!
これで僕だとバレないはず…
「おう、坊主!行くぞ!」
「え、えーと。お邪魔しまーす…」
「いらっしゃいませ!」
ギルドの中はとても賑やかだ。
依頼を受ける人。隣接された酒場で騒ぐ人たち。忙しなく動く職員の人たち。とさまざまだ。
「新規登録の方ですか?」
「は、はい。とりあえず冒険者の説明だけでも聞いておこうかなと…」
「分かりました。では説明をしますので横のテーブルへきてください。
奥の方はどうなさいましたか?」
「俺はそこにこの坊主がいたから引っ張って来ただけだ。
ちょっとあっちの酒場行ってくるよ。
坊主!気張ってけよ!」
「はい!ありがとうございます!」
説明のために横のテーブルで座って待つ。職員の人は資料を取って来てくれるそうで少し席を外している。
待ってる間にギルドの中を見渡してみる。
なんかイメージよりも荒っぽい人は少ないように見える。
というかさっきの人みたいに、世話焼きの兄貴!って感じがほとんどだ。…ギルドにも国の雰囲気が出るのだろうか?
「お待たせしました。それでは説明を始めさせていただきます。」
そうしてギルドの職員さんの説明が始まった。
ちょっと話が長かったので僕なりに頭の中で整理してみた。
・基本的に採集任務と護衛任務がほとんど
・ランクがあり、最初はE級から。
・E級、D級、C級、B級、A級、S級がある。
・ランクが上がると指名任務とかがたまにくる。
・ランクを上げるには試験を受けなきゃいけない。
・ランクなどの個人情報の管理はギルドカードと呼ばれるもので管理する。
不正とかはこれで分かるらしい。
・情報は基本的にその国のギルドのみに伝達される。他の国に移動するなら移動先の国にも情報が伝達される。
「以上です。お分かりいただけましたか?」
「はい、大丈夫です。」
「ありがとうございます。
では冒険者登録をされますか?」
これは、どうしたらいいのだろうか?
一度サラさんたちに相談した方がいい気がする。
一旦保留という形にしてもらおう。
「すいません。ちょっと保留という形でもいいですか?
相談しないといけない人たちがいまして…」
「全然大丈夫です。たまにそういう方が居られまして。
では予約という形にさせていただきます。決まり次第来ていただければ大丈夫です。
お名前を教えて頂けますか?」
まずい。これは非常にまずい。
せっかく顔を偽装したというのに、名前を言ってしまったら台無しだ。
しかし名前を言わなかったら怪しく思われる。
どうしよう…
「…………………です。」
「すいません。聞こえなかったのでもう一度お願いします。」
「月野、日影です……」
「分かりました。月野日影様ですね…?
え、月野日影様?」
「すいません今日はありがとうございましたぁ!」
僕はさっさとギルドを出て、王宮に帰ることにした。
そろそろ三時ぐらいだ。戻るにはちょうど良いぐらいだろう。
そう思いギルドを出ようとした時、誰かに肩を掴まれた。
…さっきの人だ。
「おう、坊主。もうちょい話聞かせてくれや。
なんか面白そうなこと知ってそうやんか」
「ちょっと待って騒ぎになるって!ここ大騒ぎになるから!」
「そんなんギルドじゃいつものことだ!気にするな!」
「僕が大丈夫じゃないって!待って!引っ張らないでぇぇぇぇ………」
「………酷い目に遭った。」
いつの間にか日は傾き、鳥が夕焼けをバックに空を飛んでいた。
あの後ギルドでも揉みくちゃにされ、質問攻めにあい、武勇伝を聞かせてもらった。
さっきの人はギルドでは有名な冒険者らしかった。聞こえた限りではS級とかだった気がする。
しかし、良い話も聞けた。
魔法のことも聞けたし、剣術も悩んでたことが解決しそうなアイデアが浮かんだ。
疲れたが、それに見合った収穫はあった。明日からもまた頑張ろう!
さて、ここはどこだろう?
王宮に帰れるまで後一時間。
「さて、お久振りです。ジークフリート様」
「おお、ギルド長!お久しぶり!」
「S級のあなたがここに戻って来て頂けるとは!
前はいつでしたでしょうか?」
「前回は弟子たちがこの国の騎士団の将軍と副将軍になったとかの祝いだったはずだ。
今回はもうちょい長くいる予定だ。」
「今回はどのような用件で?」
「何、勇者とやらが召喚されたと聞いて見学に来たのよ。
…しかし早速会えるとはな。」
「見てみてどうでした?」
「ありゃ化けるぞ。さっき俺が教えたことも面白そうに聞いておったが、遠くない未来に俺を超える気がしてならない。
つくづくおもしれぇ坊主だ。」
「まさかそれほどとは…
『剣聖』と謳われるあなたほどの人がそこまでの評価を…」
「くくっ。一回城の方に顔を見せに行っても面白そうだな。
弟子たちも様子が気になるしな」
日影くんの散歩回という名のギルドの説明回でした。
余談ですがこの後サラさんに怒られたそうです。
そして流れるように使われる夜の力…
〜〜〜おまけ〜〜〜
「今日は満足したか?◯?
散々人を追い詰めといて自分だけ逃げるなんて無いよなぁ?」
「黙れ。黙れ。黙ってろ。◯」
「日影さん?何か言いました?」
「いえ、何も?」




