番外編・another side
新年あけましておめでとう御座います。
今年もこの小説を何卒よろしくお願いします
番外編その1です。
日影くんと一緒に召喚された空汰くん視点です。
ーーーーー空汰視点ーーーーー
ーーーーーとある都市にあるなんの変哲もない高校ーーーーー
「おーい、日影。また勉強教えてくれよ!」
オレはそう言って今日もまた親友の月野日影の元に向かう。
日影とは二年の時のクラス替えで席が近くになったことから仲良くなった。
一年生の時から違うクラスのオレの耳に届くほどには日影は頭が良かった…らしい。
実際オレはその頃の日影とは話してなかったからあまり知らないが。
オレはあまり頭が良く無いからよく放課後にこうやって勉強を教えてもらっているわけだ。
「はぁ、またかよ。全くしょうがねぇなぁ。
んで、今日はどこがわからねぇんだ?」
日影はいつも丁寧な口調で話していて、基本的にクラスの端っこで本を読んでいることが多い。
人柄は良く、よく人から相談を受けていたりすることが多い。
だが、オレは知っている。
日影は普段は猫をかぶっていて、本当の性格はいつも他人に対しては興味なさげで、口調も遠慮がないと言うこととか、口調こそキツイというか遠慮がないが、面倒見の良さは全く変わらないどころか、他の人以上によくなるところとか。
正直、遠慮がなくなった後も一人称が「僕」であることが変だとは思う時があるが。
「えーと、全部!」
「全部!…じゃねえよ。具体的に言わないと教えるとこごっちゃになるだろ。」
「それもそっか!…じゃあ日本史で!んじゃ今日も頼むよ!学年一の天才サンっ♪」
ほら、オレが無茶言ってもしっかりと返してくれる。
それから雑談をしながらオレは勉強の準備を始める。
「もう少しで定期テストだが、今回は大丈夫そうか?」
「今回の日本史ヤバいわ。
オレ今回のテスト赤点だったらサッカー部のレギュラー落とされるかもだからガチのピンチだわ。」
「体育会系クラブは随分と厳しいな。」
会話をしながら日影の顔をちらりと見てみる。
少し長い前髪に、鋭い印象を与える輪郭。
少し髪がかかっている鋭い目に浮かぶ感情に拒絶の意思はない。
少なくとも日影がオレを嫌うような仕草は全く見えない。
そんなオレの視線に気づかずに日影はオレに対する特別講義を始めようとする。
「それじゃあ、この時代の流れからだがーーー」
「あ、おった。空汰ぁ。何してんの〜?」
「ゲッ。有栖」
勉強を教えてもらおうとしたら面倒なのが来た。
服部有栖。早い話が、オレの幼馴染。兼、腐れ縁だ。
アイツが小学一年の頃に関西の方から引っ越してきて、家がオレの家のすぐ向かいにあったことから、小学校からずっと一緒で、今でも登下校は一緒だ。
小学三年からここ九年間ずっと同じクラスだ。
時々どっちかの家に集まってゲームをするようなオレの親友だ。
「ゲッとはなんやゲッとは〜。また勉強教えてもらっとんの〜?」
「その通りだ服部さん。君からもコイツに一言言って欲しい。」
とうとう名前呼びですらなくなった。
まあ日影にとって遠慮がなくなるほど仲が良くなったとも言える。
現に、普段あまり話さない有栖に対しては名字呼びのままなのだから。
「日本史やってんの?ワタシも教えて欲しいな〜」
「はぁ?お前も?今オレが教えてもらってるんだけど」
「一人増えたぐらいいいでしょう?ね?日影くん」
「とんとん拍子で話を進めるな。ったく一からまた教え直ししなくちゃならねえだろうが。ほら、ノート出せ。」
「やった〜」
「おーい、オレもう一回同じこと聞かなきゃいけないの?」
「まあ仕方ないことだ。諦めてくれ空汰。」
「そんなぁ」
相変わらず有栖はオレのいるとこには割り込んでくる。
これも昔からよくあることだ。
そんなこんなで日影から勉強を教えてもらっていると、誰かのスマホから鳴ったのか、通知音が聞こえてきた。
一旦勉強を止めて、スマホを確認する。
珍しいことに日影のスマホからの音だった。
ちょうどいいタイミングだ、と言うことで勉強も休憩となった。
「やっと休憩キター。オレもうヘトヘトだわ。」
「空汰疲れるの早〜」
「るせー」
有栖と軽口を叩きながら、天井を見上げる。あまりにも疲れたのだからしょうがない。
余談だが、有栖の成績は真ん中ぐらいだ。それでもオレよりかは十分高い。
「二人ともなんか光って見えるのって気のせい?」
「「は?」」
有栖の言葉に視線を戻す。そして、有栖と日影の方を見る。
確かに光っていた。心なしか有栖の方が強く光っていたが、現実ではあり得ない光景にまずは目を疑った。
次に興奮がオレの胸を占め始めた。
普段からラノベをよく読んでいたオレはこういうシチュエーションの場面を何度も読んできた。
そしてよくあるセリフを言おうとした。
しかし、その前にオレの体が急に動かなくなった。口すら動かせない。
そしてそんな状況に困惑していると意識も急に消えた。
ーーーーーシェリダー皇国・玉座の間ーーーーー
…目が、覚めた。
いや正しくは意識だけが覚醒したと言う方が正しいだろう。
なぜなら目が覚めても、オレの体は自分の意思では動かなかったのだから。
混乱するオレの意識をおいて、オレの体は誰かよくわからない人の命令に従って勝手に動き始めていた。
隣には有栖もいるようだが、有栖もオレと同じように動いている。
…まるで一緒の動きを強制させられているかのように。
しばらく移動すると目的地に着いたのか体の動きが急に止まった。
目線の先には日影がいた。
なんでか暴れていて、他の人に取り押さえられている。
常に冷静だった学校内の様子とはまるで別人のように誰かに対して憎悪を燃やしている。
…なぜだ?
オレの疑問は次の行動で全て解消された。
さっきとは別の人の命令で口が勝手に動き出した。
なぜか、有栖と同じ言葉を同じタイミングで発す。
「「『『ステータスオープン』』」」
吾妻 空汰 16歳
スキル
黄の将軍
状態異常
洗脳
服部 有栖 16歳
スキル
無色の異端者
状態異常
洗脳
ステータスの最後を見て今までの疑問も、日影の異変にも納得がいった。
そして、どうにもならない現実を呪った。
動かない体は洗脳のせい。意識はなぜか無事だが、そのうち限界を迎えるだろう。
そして何も出来ない無力さを噛み締めながら日影とオレに命令してきたやつ、この国の王様とのやりとりを傍観する。それしか…出来なかった…
そうして傍観し続けるしか出来なかったやりとりの最後はオレは見なくもないものだった。
王様の命令により外に向かって引きづられる日影。そしてそれを無表情のまま見続ける有栖。
それが無性に悔しくって、悲しくって思わず日影に助けを求めようとした。
…しようとしてしまった。
オレの目に見えたのは、目の色を赤くして王様を睨みつける日影の姿だった。
オレには日影にそんな表情をさせてしまったという罪悪感しかなかった。
…他ならないオレの存在そのものが日影の精神に傷をつけてしまったことに恐怖を抱いた。
扉が閉まる。日影の姿が見えなくなったが最後、オレの意識は限界を迎えた。
…願うならば、この光景が全て夢でありますように…
しかしこの日以降も定期的に空汰は意識だけは取り戻すことになる。
意識がない時に行われた訓練、と言う名のしごきの経験と知識だけが積み重なった情報を処理する間にまた意識が落ちる。そして、無駄に強くなってしまうのだ。
目覚める度空汰は願う。
この地獄から誰か解放してと
番外編side空汰くんでした。
改めて皇国はクソですね。
当然訓練とかの他の要素もクソです。
自我のない勇者に人権?ないです(断言)
次は日影視点での短編集の予定です。
人物紹介も作る予定です。




