第79話 セラvsラヴィニア前半
──空が裂けた。
轟く爆音とともに、ヴァルラグナ遺跡の上空で光と闇がぶつかり合う。
燃えるような蒼い光と、墨のように濃い闇が渦をき、雷鳴と閃光が乱舞していた。
その中心で、二人の魔導士が対峙している。
一方は、月のように蒼い髪を揺らし、冷ややかに微笑む女――セラ・フィオネ。
もう一方は、黒衣をまとい、漆黒の杖を握る女――闇の魔女ラヴィニア。
異界から来た魔女と、この世界に根づく魔導士。
世界と世界、理と理が交わる瞬間だった。
◇ ◇ ◇
「――詠唱、開始。」
セラの唇が静かに開かれると同時に、彼女の周囲に魔法陣が次々と浮かび上がった。
一つ、二つ……瞬く間に二十。
空を埋め尽くすほどの光陣が、すべて異なる属性の魔法を宿している。
雷、氷、炎、風、土、光
――六属性の魔力が複雑に絡み合い、まるでひとつの生命体のように鼓動していた。
◇ ◇ ◇
「二十同時詠唱……面白いわね。」
ラヴィニアの唇が妖しく歪む。
その周囲にもまた、同じ数の闇の陣が現れた。
紫電を帯びる杖の先が空を指す。
次の瞬間、二十の魔法が同時に炸裂した。
爆音と衝撃が交錯した。
炎と闇がぶつかり、氷が砕け、雷が空を裂いた。
その光景は、まるで神々の戦争のようだった。
◇ ◇ ◇
「相殺……!」
セラが空中で身を翻す。
魔法の衝突が互いの術式を打ち消し合い、空間が軋んだ。
だが、止まることはない。
次の詠唱、さらに次の詠唱――。
互いの陣が三十、四十、五十と重なり、空が光で埋め尽くされていく。
「詠唱速度に……魔力の質も、ほぼ同等ね。」
ラヴィニアが不敵に笑った。
その眼差しには余裕すらあった。
だが、セラの瞳は冷たく、どこか確信に満ちている。
「それは、どうかしら。」
セラの声が風に溶ける。
その瞬間――地上から巨大な爆発音が響いた。
◇ ◇ ◇
ヴァルラグナ遺跡の外。
レオンと影狼の戦いが、ついに決着したのだ。
光の柱が立ち上がり、炎が夜空を焦がす。
セラはそっと視線を落とした。
その瞳に浮かんだのは、誇りと安堵の色。
「レオンの勝ちね。」
「……ふん、あの獣が負けるのは想定内でしたが、随分と早いこと。」
ラヴィニアは小さく鼻で笑い、吐き捨てるように言った。
「所詮は獣。
使い捨ての駒。」
その言葉に、セラの表情がわずかに変わった。
唇に浮かんだ微笑が、今度は鋭い刃のように冷たく光る。
「あなたも、その獣と同じ。
すぐに私に負ける運命よ。」
「やってみなさい。」
──空が再び裂かれる。
次に立っているのは、どちらだ。
次回:セラvsラヴィニア後半
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