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異世界で目覚めた少年、八星の勇者に選ばれる  作者: TO
第3章 新たな八星の出会い
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第52話 仲間と笑う夜、迫る紅の戦い

夕暮れの風が頬を撫でる中、リアムは村の宿舎へと戻る。木造の家の前には、ちょうどセラが帰ってきたところだった。


「セラ、ただいま。遺跡の調査はどうだった?」


セラは眉を寄せて首を振る。


「ダメね。想像以上に魔物が多すぎる。

 魔物を倒さないと、調査どころじゃないわ。」


「なら、今度手伝うよ。」


「ありがとう。頼りにしてるわ。」


微笑みを交わしたその時、村の奥から大きな雄叫びが響いた。雷鳴のような声に、セラとリアムは同時にため息をつく。


「……また叫んでるのね。」


「うん。昨日のもそうだったけど、あれって多分」


「アルトよね。」


二人は顔を見合わせ、呆れ笑いを浮かべながらも歩き出す。闘技場裏の広場では、レオンとアルトが肩を組み、雄叫びを上げていた。

周囲の鬼人たちと一緒に、なぜか盛り上がっている。


「ウオオオオオオオオッ!!!」


リアムとセラは、あまりの迫力に一瞬立ち止まり、そして無言で真顔になる。セラがぼそりとつぶやいた。


「……戻りましょう。リアム、馬鹿がうつるわ。」


「うん。そうだね。」


二人が踵を返して宿舎に戻ると、やがて遅れてレオンとアルトが帰ってきた。玄関を開けた瞬間、二人はリアムとセラの冷たい視線に迎えられる。


「……なんだ、その目は。」


「別に。」


「何でもないわ。」


セラが淡々と告げると、アルトが話題を変えるように声を上げた。


「それより、リアム! 聞いたぞ。

 お前、二十本組手で全勝したって本当か?」


「ああ。一応、全員には勝った。」


アルトは驚いた表情でリアムの背中を勢いよく叩く。


「すげえじゃねぇか! 

 お前、どんどん強くなってんな!」


レオンも笑みを浮かべて頷く。


「おめでとうリアム。明日はゆっくり休めよ。」


リアムは「ありがとう」と返しつつ、少しだけ肩をすくめた。


「……明日、鬼燐さんと試合することになった。」


「え?」


アルトの表情が一変した。

口をへの字に曲げ、嫌そうに顔をしかめる。


「お嬢と、か……」


「どうした? そんな顔して。」


「いやな、お嬢の戦い方、陰湿なんだよ。

 力押しだけじゃなくて、唯一魔法を使える鬼人でも

 ある。魔法使いは戦うとめんどくさい。」


「へぇ……。」


「ま、明日になりゃ分かるさ。」


アルトが苦笑すると、レオンが両手を叩いた。


「よし、話は後だ。晩飯に行こう。

 鬼人の料理、結構いけるぞ。」


四人は笑いながら、鬼人族の食堂へと向かった。

香ばしい肉の香り、濃厚な酒の匂い、どこか懐かしい団欒の声。戦いの緊張も、仲間と囲む食卓の中で少しずつ溶けていった。


――そして夜。


リアムは静かに目を閉じながら、明日の試合を思う。

闘志と不安が入り混じる中、心の奥で小さく呟いた。


『……負けられない。俺は、強くなる。』


闇の中、月が静かに照らしていた。

鬼燐との戦いの幕が、静かに上がろうとしていた。



次回: 紅い悪夢の再来

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